正義が悪に負ける時


「あれ・・・ちょっと待てよ。」


「どうしました?」



真田さんが座席から立ち上がって、ポケットに両手を入れた状達でその場に止まる。


「座りながらでもいいじゃないですか?」


「こっちのほうが頭が働く。

今更だけどさ、何にせよ毒が入ってたのに被害者の2人は気付かなかったのか?」


「・・・?」


「長さんの鑑識結果だと、
今回使われた毒物は“シアン化物”。

毒キノコならまだ分かるけど、

人工物で作られた“美味しい毒”って聞いたことあるか?」


「・・・・・確かに・・。

普通“味”に違和感を持って吐き出しますよね。

もしくは“変な味がする”ってその場でお店に文句を言ってもいいぐらいかも。」


「なのにそのまま2人は毒入りの料理を口にして、何も気付かずホテルまで帰っていった。」


「もしかしたらそこに梶山の犯行を裏付ける何かが隠されてるかもしれませんね・・・。」



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