正義が悪に負ける時
煙草の火を消した元奥さんがフゥと息をついた。
「・・・・私が浮気したんです。
男を家に連れ込んでた時に、出張に行ってたはずの旦那が帰ってきて鉢合わせしたの。」
「・・・・不倫か・・・・・。」
ますます・・梶山の犯行が確信に変わっていく。
梶山はそれぞれの妻に不倫されたという事か・・・。
殺したくなるほど恨む気持ちも少し分かる。
「その当時の梶山の様子は?
激しく怒ったとか暴力を振われたとか。」
「・・・・・そんな勇気なんてあの人には無かったと思うよ。
私・・自分を守ることに必死でたくさん嘘ついて周りの人間騙して、
“不倫をされたあなたが悪い”っていう展開に持ち込んだんだから。」
真田さんがポンと俺のお尻を叩いた。
“交代”っていう意味だと捉えて一歩下がる。