正義が悪に負ける時
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「・・お待たせしましたぁ~。」
「どうもすみません。」
「お腹は治りました?」
「ええお陰様で。
荒れた胃腸には温かいお茶が染みます。」
「それは良かったですぅ~。」
「これは・・・・静岡のお茶ですか?」
「ええ!うちは清水から最高級の茶葉を2種類仕入れて、
独自にブレンドをしているんですよぉ~。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・?・・どうされました?」
「滝川ゲンジと梶山フユミには、もう1種類ブレンドしたお茶を出したんですか?」
「・・・・・・仰っている事が良く分からないんですけどぉ・・・・。」
「私達は被害者の2人が最後に口にした“料理長特製御前 華”に気を取られすぎていました。
でも当日、同じ食材、同じ調味料を使って作られた37人前の御前のうち、
2人に出したものだけにどうやって毒を入れたのか、その答えが出ませんでした。」
「・・・・・・・・・。」