正義が悪に負ける時


「・・・・・・・・・随分と・・想像力が豊かなんですね真田さんは。

息子が過去に既婚女性とお付き合いしていたのは認めます。

その時の相手方も、
その梶山さんだったと思います。

ですが、慰謝料をお支払いし、
それきりもう何もありません。」



「あなたにとっての不運は、

梶山の2番目の妻、フユミが滝川ゲンジとこの近くのホテルでよく会っていたこと。

そしてこの店でよく食事をしていたこと。


妻の不貞を疑っていた梶山に目を付けられ、協力を求められたんでしょう。

客商売は評判が全てを左右する。

息子さんの不倫を利用した悪い噂を流されるのは、あなたにとって絶対に避けたかった。


安心してください。

殺意を持ち、毒を作ったのは梶山だと思っています。

あなたはただそれを受け取り、
滝川とフユミの2人に出しただけ。」



「そこまで・・・そこまで仰るなら証拠はあるんですか!?

真田さんのその出任せた想像を証明する証拠は!?」



「・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・残念ながら・・・
ありません・・。」


「・・・・・フフッ・・・ご勘弁くださいよ真田さん・・・。

もう戻ってもよろしいですか?
片付けと明日の仕込みがありますので。」


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