正義が悪に負ける時
「・・・・女将さん・・・・。」
「・・・・?」
「今から私が言うことは“脅し”と捉えて構わない。
黙って聞いててください。」
「・・・・・・・・・。」
「梶山とあなたが繋がっている事、
梶山があなたに協力させたという証拠は見つかっていません。
ですが、被害者の2人がこの店で毒を盛られたというのは、
胃の内容物,死亡推定時刻から裏取りが出来ています。
いいですか?
梶山の関与は証拠が無いけど、“一心”で毒を盛られた事は証明できているんですよ?
その気になれば、
今すぐにでも裁判所から令状取って、
ここへガサ入れする事も出来る。」
「!?」
「私の上司が何とか新聞記者の連中を抑えてますが、彼らももうウズウズしてるでしょうね。
そんな時に『日本料理店“一心”に警察の捜査が入った』、
『毒物はこの店から検出された』なんて情報が出たら、
あなたが大切に守り続けてきたこの店は彼らの標的にされ、
様々な記事が飛んで全国の人達に伝わる。
そうなったら終わりだ。」