だいすきなあなた
2
時計の針がちょうど二本とも真上を指している。
夜の0時。
家の中には私一人。
シーンと静まる空間には私が本をめくる音だけが響く。
そろそろ寝ようかと、本に栞を閉じ布団に潜った時。
ガチャリと玄関の扉が開いた音がした。
その音を聞き、そっと布団から出て音のした方へ足を向ける。
リビングに行くと、冷蔵庫が開いていて明かりが漏れていた。
「おかえりなさい」
そう投げかけると、
「あぁ」
ゆっくり私に近づいてくる人物。
「まだ起きてたのか」
お腹に手を置き、優しく撫でる手。