だいすきなあなた
「鈴音」
【なーに?】
名前を呼べば、嬉しそうに返事をする鈴音。
「会いたい」
切実な願いだった。
【すずも!】
その一言でもう涙を止めることが出来なかった。
どんどん溢れる涙に、鈴音は大丈夫?と優しく言葉を掛けてくれる。
「…鈴音………」
涙で視界がぼやけているが、私の意思だけははっきりとしている。
お兄ちゃんの宝物。鈴音。
お兄ちゃんが守ってくれたもの。
今度は私が…
守らなきゃ。