だいすきなあなた
やっとの思いで帰ってきた地元は、私がいた時とは何一つとして変わっていない。
サボりであろう学生がチラホラ歩いているが、至って平和な街。
そこからは思い出に浸ろうと、通っていた小学校や中学校へと足を向けようと思った。
だが、まずはやる事があるだろう私。
駅でタクシーを拾い行き場を告げると、タクシーは大通りから細脇の道へ入る。
「着きましたよ」
運転手さんの声であたりを見回してみると、そこは私が小学校6年間通っていた通学路の通過点だった。
料金の3248円を支払い、タクシーから降りた。
まさか、通学路にこんなところがあるとは…
目の前には【太陽園】と書かれた看板がぶら下げられていた。
意外と意識しないとわからないもんだなぁ、と呑気に私は思っていた。