だいすきなあなた

「どこか痛いの?」

私の顔を覗き込む男の子は背負っていたランドセルを下ろし、私の背中をさすってくれる。

「ありがとう、もう大丈夫だよ」

さすってくれたお礼に、男の子の頭を撫でてあげると、嬉しそうに目を細めた。

可愛い!可愛すぎる!

先ほどの不安が嘘のようだ。

この男の子のお陰ですっかり吹き飛んだ。

はぁ、天使かよ…

「元気だしてねお姉ちゃん!」

ニカっと白いを見せて笑う男の子につられて私まで笑顔になってしまった。

「あら、こーくん?」

「あ!こーくん!おかえりなさい!」

曲がり角から声がして、男の子とそちらに目を向けると、そこには…

「鈴音!先生!ただいま」

五十代前半のおばさんに手を繋がれている小さな薄ピンクのワンピースを着た女の子が立っていた。






「………………鈴音?」








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