この溺愛にはワケがある!?
「何ですか?」
「大谷静を追い込むために、貴女に暴力を振るうのに目を瞑ってしまった……これは、やってはいけないことでした。本当に申し訳ありません」
藤堂はロマンスグレーの頭を深く下げる。
いろいろやってもらった上に、机に額が付くくらい頭を下げられて、美織はどうしていいかわからず狼狽えた。
平手打ちなど、少し冷やせばすぐに収まる。
警察に通報して聴取などされる手間を一気に省いてくれたのだ。
お礼が言いたいのはこっちだ、と、美織は思っている。
「頭をあげて下さい!そんなこちらこそ、お世話になりっぱなしで……あ、それで、料金はいくらくらいかかるのでしょうか?私こういったことは初めてなもので予算が……」
藤堂の目がまたもや大きく見開いた。
何をそんなにびっくりしてるのか、と美織の目も釣られて大きくなる。
「貴女は………全く………私は黒田造船の顧問弁護士です。会社の利益と黒田家を守る為にいるのです」
「あ、はい」
「いずれ黒田の社長夫人になる貴女を守るのは当然のこと。経費などかかりませんよ。更に言わせてもらえば、この件で社長はかなり腹を立てています。貴女の頬を打つなど黒田に対する侮辱ですし、社長も隆政くんも貴女にベタ惚れですからね」
完全に言葉を失った美織を見て、藤堂はそれはそれは楽しそうに次の言葉を言い放った。
「全力で潰せとの指示でしたので、その通りに遂行しました。私も久しぶりにこれだけの采配を振るうことが出来て楽しかったです。そろそろ引退して息子に顧問も譲るつもりだったのですが……もう少し現役でやりたくなってきましたよ」
「あ………えっと………」
「ふふ。美織さん、貴女で良かった。隆政さんが惚れたのが貴女で」
未だに呆けている美織を置いて、爽やかに笑いながら藤堂は会議室を出て行った。
後半、何の質問もする暇もなかった。
ただわかったのは、黒田行政という男がどれほどこの地域で力を持っているかということである。
果たして大谷静は……無事でいられるのか……。
せめて命だけでも残れば儲けものかもしれない。
その時美織はラスボス然とした行政の高笑いと、悪の宰相のような藤堂の含み笑いを想像してブルッと背中を震わせた。
「大谷静を追い込むために、貴女に暴力を振るうのに目を瞑ってしまった……これは、やってはいけないことでした。本当に申し訳ありません」
藤堂はロマンスグレーの頭を深く下げる。
いろいろやってもらった上に、机に額が付くくらい頭を下げられて、美織はどうしていいかわからず狼狽えた。
平手打ちなど、少し冷やせばすぐに収まる。
警察に通報して聴取などされる手間を一気に省いてくれたのだ。
お礼が言いたいのはこっちだ、と、美織は思っている。
「頭をあげて下さい!そんなこちらこそ、お世話になりっぱなしで……あ、それで、料金はいくらくらいかかるのでしょうか?私こういったことは初めてなもので予算が……」
藤堂の目がまたもや大きく見開いた。
何をそんなにびっくりしてるのか、と美織の目も釣られて大きくなる。
「貴女は………全く………私は黒田造船の顧問弁護士です。会社の利益と黒田家を守る為にいるのです」
「あ、はい」
「いずれ黒田の社長夫人になる貴女を守るのは当然のこと。経費などかかりませんよ。更に言わせてもらえば、この件で社長はかなり腹を立てています。貴女の頬を打つなど黒田に対する侮辱ですし、社長も隆政くんも貴女にベタ惚れですからね」
完全に言葉を失った美織を見て、藤堂はそれはそれは楽しそうに次の言葉を言い放った。
「全力で潰せとの指示でしたので、その通りに遂行しました。私も久しぶりにこれだけの采配を振るうことが出来て楽しかったです。そろそろ引退して息子に顧問も譲るつもりだったのですが……もう少し現役でやりたくなってきましたよ」
「あ………えっと………」
「ふふ。美織さん、貴女で良かった。隆政さんが惚れたのが貴女で」
未だに呆けている美織を置いて、爽やかに笑いながら藤堂は会議室を出て行った。
後半、何の質問もする暇もなかった。
ただわかったのは、黒田行政という男がどれほどこの地域で力を持っているかということである。
果たして大谷静は……無事でいられるのか……。
せめて命だけでも残れば儲けものかもしれない。
その時美織はラスボス然とした行政の高笑いと、悪の宰相のような藤堂の含み笑いを想像してブルッと背中を震わせた。