この溺愛にはワケがある!?
その足で美織は市役所前からバスに乗った。
村上総合病院へは、市役所から車でおよそ20分ほどかかる。
さっきパンフレットを見て、美織は思い出したことがあった。
それは七重が入院するとき、この病院も候補にあがっていた、ということだ。
しかしそれを珍しく七重が反対した。
その時は家から近い方がいいという理由に納得したが、今考えてみると別の事情もあった気がする。
行政の嫁の兄の病院。
きっと七重はそれを知っていて、その病院にしなかったのではないだろうか。
本当の所はもうわからない。
だけど七重と行政とその嫁には、何か深い繋がりがあるのかもしれない。
バスの中で美織はそんなことばかり考えていた。
『村上総合病院前ー』というひび割れた声のアナウンスを聞いて、美織は腰を上げる。
降りて辺りを見回すと、病院のバス停も新しく作り直されたのか、微かに新しいペンキの匂いがした。
正面玄関を入り、総合受付で名前と予約があることを告げる。
すると受付の女性はさっと立ち上がり上司を呼んだ。
(上司を呼ぶってどういうこと!?私何かした??)
不安なままその場に立ち尽くす美織の元に、受付の女性に呼ばれた上司が足早にやって来た。
「お待たせしました。加藤美織様。ご案内致します」
「はぁ……どうもすみません」
(場所教えてくれたら自分で行きますけど?)
と思ったが言えなかった。
その上司の男性が、やたらと笑顔でヘコヘコするのが少し気の毒になったからだ。
きっと、ちゃんと案内するようにお達しがきているのだろう。
美織は『悪の宰相』藤堂のそつのなさに半分怯え、半分呆れた。
村上総合病院へは、市役所から車でおよそ20分ほどかかる。
さっきパンフレットを見て、美織は思い出したことがあった。
それは七重が入院するとき、この病院も候補にあがっていた、ということだ。
しかしそれを珍しく七重が反対した。
その時は家から近い方がいいという理由に納得したが、今考えてみると別の事情もあった気がする。
行政の嫁の兄の病院。
きっと七重はそれを知っていて、その病院にしなかったのではないだろうか。
本当の所はもうわからない。
だけど七重と行政とその嫁には、何か深い繋がりがあるのかもしれない。
バスの中で美織はそんなことばかり考えていた。
『村上総合病院前ー』というひび割れた声のアナウンスを聞いて、美織は腰を上げる。
降りて辺りを見回すと、病院のバス停も新しく作り直されたのか、微かに新しいペンキの匂いがした。
正面玄関を入り、総合受付で名前と予約があることを告げる。
すると受付の女性はさっと立ち上がり上司を呼んだ。
(上司を呼ぶってどういうこと!?私何かした??)
不安なままその場に立ち尽くす美織の元に、受付の女性に呼ばれた上司が足早にやって来た。
「お待たせしました。加藤美織様。ご案内致します」
「はぁ……どうもすみません」
(場所教えてくれたら自分で行きますけど?)
と思ったが言えなかった。
その上司の男性が、やたらと笑顔でヘコヘコするのが少し気の毒になったからだ。
きっと、ちゃんと案内するようにお達しがきているのだろう。
美織は『悪の宰相』藤堂のそつのなさに半分怯え、半分呆れた。