この溺愛にはワケがある!?
(ああ!天岩戸か!)

美織はアマテラスの意味を理解した。だが、事態はそれどころではないらしい。

「………そんな必要もないと思ってな!当主の私の決めることは決定事項だぞ!」

半ばヤケクソのように行政は叫ぶ。

(いやいや、ダメだよー、夫婦なんだからしっかり話し合いなさいよー)

とは思ったが夫婦の形もそれぞれ。
自分が口を出すことではないのかも、と口をつぐんだ。

「あれか?七重さんとのことでまた揉めたのか??」

「おばあちゃん!?何で……あっ!」

七重のことで二人がケンカしたと隆政から聞いていた。
それはきっと行政が七重のことを今でも思っていたからで、小夏が手紙を隠していたのもそんな七重に嫉妬したからなのでは……。
自分が口を出すことではない、と思っていたがそれは違うかもしれない。

「小夏さん……お婆様は私が祖母の……孫だから家に入れたくないんじゃないかな……」

美織は思ったままを言った。
仮に美織が小夏の立場だったとしたら、やはり美織と隆政の結婚を良くは思わなかっただろう。

「そんなことはない!!例えそうだとしても、私は美織さんと隆政の結婚を推し進めるぞ!」

行政がドンと卓袱台を叩くと、古いそれはメキッという音をたてた。
あ、と申し訳なさそうに呟くと行政は黙りこくってしまう。

「でも困るだろ?婆さんがあんなんじゃ……みおだって気分のいいものじゃないだろうし?」

と、隆政は美織の同意を求めた。

「そうね、やっぱりこうなったからにはお婆様にもお許しを貰いたいし……でも、恋敵?の孫なんか結局許して貰えそうにないわね……」

「いや!俺はみおと結婚する!!許してもらえなくてもなっ!これは決定事項だ!」

今度は隆政が卓袱台をドンッと叩き、バキッという卓袱台の断末魔が響いた。
辛うじて脚は折れていなかったが、微妙に少し傾いている。
美織の目の前には申し訳なさそうにこちらを見るイケオジとイケメンが……。
さすが黒田のDNA、こんなところまで似るのかと美織はあきれ果てていた。
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