この溺愛にはワケがある!?
それからヘアピンカーブを三つほど抜け、そろそろ頂上かなと思ったその時、美織の目にあるものが飛び込んできた。
それはパッと見には小さい交番のようで、制服を着た人が二人、中にいる。
彼らは隆政の車を見ると、サッと走り寄り帽子をとった。
「おはようございます。副社長」
統率のとれた行動で、言葉も一字一句同じ。
軍隊のようなその行動に美織は唖然とした。
「おはよう、どうだ?様子は?」
「まだ……お篭り中だそうです」
隆政の質問に年長者の方が答えた。
「そうか……ったく、しょうがねーな……あ、みお、この人達はここの警備をしてくれてる小嶋さんと木原くん」
警備ーーー!?
持っていかれそうな意識を根性で取り戻し、美織はそつなく会釈をする。
「こちらは俺の嫁の美織。よろしく頼むよ」
(まだ、嫁ではないですよ、嫁では……)
そんな美織の突っ込みは、小嶋と木原の「こちらこそっ!!よろしくお願いしますっ!!」という勢いのある返事に綺麗に掻き消された。
ファンタジーワールド(黒田本宅)の冒険はまだ始まったばかりだ。
警備アトラクションを抜けると今度は、大きな黒塗りの門が目の前に現れる。
隆政の車が停まると、右上の監視カメラ?がそれをチェックし、門が開く仕組みのようだ。
きっと開閉は警備アトラクションでやってるんだと、美織は監視カメラをチラリと見た。
グィーンと機械音がして門が開く。
車が中に入ると広がっていたのは大きなロータリーと庭園。
ハリウッド映画で良く見るセレブの邸宅そのものがここにあった。
車はロータリーを抜け、併設された大きな車庫に駐車する。
車庫は二段の機械式でそれが十戸ほど横に並んでいた。
つまり、ここに二十台は停められるということ……。
単純な計算も大袈裟に考えた美織は、隆政に付いて車を降りた。
アザレアの咲く色鮮やかな中庭を、嵌め込まれた黒石の道を辿り歩く。
どちらかというと和風な造りの庭園は、趣がありとても静かだ。
静かすぎて、山鳥の声がとても良く聞こえた。
「足元気をつけろよ。たまに石が滑るんだ……昔は走ってよく転けたよ」
自虐的に笑い隆政は振り返る。
(そうか、ここは隆政さんの思い出が詰まったところなんだ)
ファンタジーワールドだろうが、平屋だろうが、思い出の重さに変わりはない。
美織はこの非現実な世界が少し身近なものに見えてきた。
それはパッと見には小さい交番のようで、制服を着た人が二人、中にいる。
彼らは隆政の車を見ると、サッと走り寄り帽子をとった。
「おはようございます。副社長」
統率のとれた行動で、言葉も一字一句同じ。
軍隊のようなその行動に美織は唖然とした。
「おはよう、どうだ?様子は?」
「まだ……お篭り中だそうです」
隆政の質問に年長者の方が答えた。
「そうか……ったく、しょうがねーな……あ、みお、この人達はここの警備をしてくれてる小嶋さんと木原くん」
警備ーーー!?
持っていかれそうな意識を根性で取り戻し、美織はそつなく会釈をする。
「こちらは俺の嫁の美織。よろしく頼むよ」
(まだ、嫁ではないですよ、嫁では……)
そんな美織の突っ込みは、小嶋と木原の「こちらこそっ!!よろしくお願いしますっ!!」という勢いのある返事に綺麗に掻き消された。
ファンタジーワールド(黒田本宅)の冒険はまだ始まったばかりだ。
警備アトラクションを抜けると今度は、大きな黒塗りの門が目の前に現れる。
隆政の車が停まると、右上の監視カメラ?がそれをチェックし、門が開く仕組みのようだ。
きっと開閉は警備アトラクションでやってるんだと、美織は監視カメラをチラリと見た。
グィーンと機械音がして門が開く。
車が中に入ると広がっていたのは大きなロータリーと庭園。
ハリウッド映画で良く見るセレブの邸宅そのものがここにあった。
車はロータリーを抜け、併設された大きな車庫に駐車する。
車庫は二段の機械式でそれが十戸ほど横に並んでいた。
つまり、ここに二十台は停められるということ……。
単純な計算も大袈裟に考えた美織は、隆政に付いて車を降りた。
アザレアの咲く色鮮やかな中庭を、嵌め込まれた黒石の道を辿り歩く。
どちらかというと和風な造りの庭園は、趣がありとても静かだ。
静かすぎて、山鳥の声がとても良く聞こえた。
「足元気をつけろよ。たまに石が滑るんだ……昔は走ってよく転けたよ」
自虐的に笑い隆政は振り返る。
(そうか、ここは隆政さんの思い出が詰まったところなんだ)
ファンタジーワールドだろうが、平屋だろうが、思い出の重さに変わりはない。
美織はこの非現実な世界が少し身近なものに見えてきた。