この溺愛にはワケがある!?
お婆様と私 2
「実は、私、祖母の日記帳を見つけたんです。これが……そうです」
と、美織は朱色の日記帳を取り出し、小夏に差し出した。
「あ………」
差し出された日記帳に小夏は小さな声を上げた。
そして漏れた声を隠すように手を口元に当て、震える声で美織に告げる。
「この……日記帳……覚えているわ。七重さんがそれはそれは大事になさってて………何が書いてあるのだろうと勘繰ったりもしたものよ」
「えっ!!そうなんですか!?」
「ええ……七重さん……まだこれを……」
小夏は目頭を押さえた。
泣いてはいない。
だが、潤んだ瞳がゆらゆらと揺れているのがわかった。
小夏は日記帳を手に取り、表に裏にとひっくり返し感慨深げに目を細める。
やがて表紙を表に向けると、自信無さげに美織に尋ねた。
「見てもよろしいの?」
「はい。きっと祖母は見てもらいたかったはずです……この日記には……その想いが詰まっています」
「七重さんの……想いが……」
小夏は大きく息を吸い、ふうーっと吐く。
そして細い指でゆっくりと表紙を捲った。
美織はその様子をじっと見ていた。
小夏の表情はページを捲る度に変わる。
微笑んだり、顔をしかめたり、眉間にシワを寄せたり、口元を綻ばせたり。
その表情の一つ一つが、小夏と七重の色褪せることのない大切な記憶。
かけがえのない思い出なのだ。
「ああ、そうなのね、あの日に……」
「まぁ、そんなことが……」
と、小夏は日記を読むごとに相槌をうった。
その様子を見て、美織にはある不思議な光景が眼に浮かんだ。
日記を捲る小夏の側に、寄り添い眺める七重の姿。
見えているのだろうか、七重の姿が小夏には……。
無意識に発している言葉は、ひょっとしたら七重と会話をしているのかもしれない。
美織にはそんな風に見えていた。
と、美織は朱色の日記帳を取り出し、小夏に差し出した。
「あ………」
差し出された日記帳に小夏は小さな声を上げた。
そして漏れた声を隠すように手を口元に当て、震える声で美織に告げる。
「この……日記帳……覚えているわ。七重さんがそれはそれは大事になさってて………何が書いてあるのだろうと勘繰ったりもしたものよ」
「えっ!!そうなんですか!?」
「ええ……七重さん……まだこれを……」
小夏は目頭を押さえた。
泣いてはいない。
だが、潤んだ瞳がゆらゆらと揺れているのがわかった。
小夏は日記帳を手に取り、表に裏にとひっくり返し感慨深げに目を細める。
やがて表紙を表に向けると、自信無さげに美織に尋ねた。
「見てもよろしいの?」
「はい。きっと祖母は見てもらいたかったはずです……この日記には……その想いが詰まっています」
「七重さんの……想いが……」
小夏は大きく息を吸い、ふうーっと吐く。
そして細い指でゆっくりと表紙を捲った。
美織はその様子をじっと見ていた。
小夏の表情はページを捲る度に変わる。
微笑んだり、顔をしかめたり、眉間にシワを寄せたり、口元を綻ばせたり。
その表情の一つ一つが、小夏と七重の色褪せることのない大切な記憶。
かけがえのない思い出なのだ。
「ああ、そうなのね、あの日に……」
「まぁ、そんなことが……」
と、小夏は日記を読むごとに相槌をうった。
その様子を見て、美織にはある不思議な光景が眼に浮かんだ。
日記を捲る小夏の側に、寄り添い眺める七重の姿。
見えているのだろうか、七重の姿が小夏には……。
無意識に発している言葉は、ひょっとしたら七重と会話をしているのかもしれない。
美織にはそんな風に見えていた。