この溺愛にはワケがある!?
その約一時間後。
待ち合わせをした一階ロビーで、隆政と行政と合流した。
『美しい振袖』を着た美織と、黒留袖を着た美しい小夏。
どちらが感嘆に値するかは一目瞭然なのだが……この一家やっぱりどこかおかしい。
「みお……ああ、すごくきれいだよ……」
(どうもありがとう、隆政さん!)
「……美織さん、なんて素敵なんだ!天使のようだねぇ。七重さんに見せてあげたいよ……なぁ、小夏?」
(お爺様!?……何泣いてるんです?)
「そうでしょう、行政さん!!さすが、わたくし達の美織さんですわね。振袖が霞むでしょう??」
(わたくし達!?……い、いや、そこじゃなくて……お、お婆様!振袖は霞みませんっ!霞むのはわたしですぅ!)
美織の百面相を、揃いも揃って愛しそうに眺める三人。
そのキラキラ眩しい眼差しに美織はもう堪えられそうにない。
お願いだから見ないでー!と、そう言おうとしたとき、ホテルの支配人らしき男が現れた。
「黒田様、長らくお待たせ致しまして申し訳ございません。お座敷の用意が整いました。ご案内致します」
と、恭しく頭を垂れた支配人に行政が尊大に言った。
「そうか、じゃあ行こう。ああ!そうだ、君も名前と顔をしっかりと覚えておくといい。この人が……」
行政は美織をひょいと前に押し出して、両肩をしっかりと握った。
「孫の隆政の嫁……美織さんだ。黒田家の大事なお嫁さんだからね。これ以降失礼のないように頼む」
「みっ、美織と申します。どうぞ宜しくお願いします」
美織は肩にかかる圧をひしひしと感じながら、支配人に頭を下げた。
それを受けて、恰幅のよい支配人も目尻を下げ、もう一度丁寧に挨拶をする。
「こちらこそ宜しくお願い致します。美織様」
(ミオリサマッ!?サマッ???)
今までにない敬称で呼ばれ、庶民代表加藤美織は舞い上がった。
「当ホテルは黒田様の所有でございます。ですので美織様もお好きな時にお越し下さいませ。温泉もサウナもプールも……どうぞご自由に」
(好きな時に温泉!サウナ!プール!うーん、パラダイス!!)
にんまりとした美織の顔が相当面白かったのだろう。
隆政も行政も小夏も、お互いに目で合図を送りながら微笑み合っていた。
待ち合わせをした一階ロビーで、隆政と行政と合流した。
『美しい振袖』を着た美織と、黒留袖を着た美しい小夏。
どちらが感嘆に値するかは一目瞭然なのだが……この一家やっぱりどこかおかしい。
「みお……ああ、すごくきれいだよ……」
(どうもありがとう、隆政さん!)
「……美織さん、なんて素敵なんだ!天使のようだねぇ。七重さんに見せてあげたいよ……なぁ、小夏?」
(お爺様!?……何泣いてるんです?)
「そうでしょう、行政さん!!さすが、わたくし達の美織さんですわね。振袖が霞むでしょう??」
(わたくし達!?……い、いや、そこじゃなくて……お、お婆様!振袖は霞みませんっ!霞むのはわたしですぅ!)
美織の百面相を、揃いも揃って愛しそうに眺める三人。
そのキラキラ眩しい眼差しに美織はもう堪えられそうにない。
お願いだから見ないでー!と、そう言おうとしたとき、ホテルの支配人らしき男が現れた。
「黒田様、長らくお待たせ致しまして申し訳ございません。お座敷の用意が整いました。ご案内致します」
と、恭しく頭を垂れた支配人に行政が尊大に言った。
「そうか、じゃあ行こう。ああ!そうだ、君も名前と顔をしっかりと覚えておくといい。この人が……」
行政は美織をひょいと前に押し出して、両肩をしっかりと握った。
「孫の隆政の嫁……美織さんだ。黒田家の大事なお嫁さんだからね。これ以降失礼のないように頼む」
「みっ、美織と申します。どうぞ宜しくお願いします」
美織は肩にかかる圧をひしひしと感じながら、支配人に頭を下げた。
それを受けて、恰幅のよい支配人も目尻を下げ、もう一度丁寧に挨拶をする。
「こちらこそ宜しくお願い致します。美織様」
(ミオリサマッ!?サマッ???)
今までにない敬称で呼ばれ、庶民代表加藤美織は舞い上がった。
「当ホテルは黒田様の所有でございます。ですので美織様もお好きな時にお越し下さいませ。温泉もサウナもプールも……どうぞご自由に」
(好きな時に温泉!サウナ!プール!うーん、パラダイス!!)
にんまりとした美織の顔が相当面白かったのだろう。
隆政も行政も小夏も、お互いに目で合図を送りながら微笑み合っていた。