この溺愛にはワケがある!?
Beloved of everyone
午後十時を回り行政と小夏、そして牧は迎えの車に乗って本宅へと帰って行った。
泊まって行けばいいのにと言った美織に、隆政は至極当然な理由でそれを却下する。
「布団はどうする?」
そのことである。
加藤家の布団問題は未だ解決していない。
なんとかしなければと思いつつ、忙しさを理由にズルズルとせんべい布団を使い続けていた。
本格的な寒さが来る前に決めなければ、はみ出る面積の多い隆政が風邪を引く。
ローテーブルの上を拭きながら、美織は布団問題を切り出した。
「やっぱり布団をもう一組買おうよ、それか大きいサイズのを買って……」
「うーん……なぁ、ソファーベッドなんてどうだ??」
「ソファーベッド?」
「そう。普段はソファーにしておけるしベッドのように狭くならなくていいんじゃないか?」
「………………………」
「み、みお?え?嫌なのか?嫌なら別に布団でも……」
黙って俯いた美織に、隆政は慌てて言った。
しかし、美織は嫌ではなかった。
実はそれと正反対のことを考えていたのだ。
「頭いい!!隆政さん!それよそれ!早速探しましょう!ソファーベッド!」
「お?おう。いいのか……そうか……」
何やら胸を押さえほっとした様子の隆政の横で、美織はスマホでソファーベッドの検索を始めた。
「ソファーベッド、ソファーベッドー……ふぅん、ピンからキリまであるわねぇ……どのくらいのものがいいかなぁ……」
そんな独り言のような美織の言葉に隆政が答える。
「一応俺も探しておいたよ」
「え?ほんと?」
「ああ。この間、みおの部屋の寸法を図って知り合いの家具屋に聞いてみたんだ」
知り合いの家具屋??
ここで、美織はまた突如既視感に襲われた。
安政くんの時も「知り合いの石材店」ではなかったか?
嫌な予感が沸き上がりつつも、それを目一杯抑え込み尋ねてみた。
「へぇ……それで?」
「ちょうどいいサイズのやつがあるって!イタリアから直輸入したデザイナーズブランドの……」
(やっぱりね、そんなことだろうと思った……もう決めてたんじゃない!)
とはいえ隆政の身長に合う物となると海外物の方がいいかもしれない。
そう思い直して、既視感と複雑な気持ちは忘れることにした。
「いいのがあるならそれにしようか?お金は半分出すし……」
「はぁ!?そんなのは俺が出す!金の心配なんかする必要はないぞ」
「え?でも私も使うのに??悪いわよー」
その美織の言葉が隆政の何かに火をつけた。
さっと変わった顔色に、ヤバイと思ったがもう既に遅し。
「悪い?俺にか?……遠慮なんてしてほしくない………金を半分出して対等の立場でいたいと思っているのかもしれないが……それは無意味なことだ」
「……それは、隆政さんに従えっていうこと?」
「違う。俺とみおは対等になれない。それは、俺がみおのことを好きすぎるからだ。常にみおは俺より上にいる。だから無理なんだ」
「…………ん?」
「まぁ、つまり……好きすぎて逆らえないってこと」
泊まって行けばいいのにと言った美織に、隆政は至極当然な理由でそれを却下する。
「布団はどうする?」
そのことである。
加藤家の布団問題は未だ解決していない。
なんとかしなければと思いつつ、忙しさを理由にズルズルとせんべい布団を使い続けていた。
本格的な寒さが来る前に決めなければ、はみ出る面積の多い隆政が風邪を引く。
ローテーブルの上を拭きながら、美織は布団問題を切り出した。
「やっぱり布団をもう一組買おうよ、それか大きいサイズのを買って……」
「うーん……なぁ、ソファーベッドなんてどうだ??」
「ソファーベッド?」
「そう。普段はソファーにしておけるしベッドのように狭くならなくていいんじゃないか?」
「………………………」
「み、みお?え?嫌なのか?嫌なら別に布団でも……」
黙って俯いた美織に、隆政は慌てて言った。
しかし、美織は嫌ではなかった。
実はそれと正反対のことを考えていたのだ。
「頭いい!!隆政さん!それよそれ!早速探しましょう!ソファーベッド!」
「お?おう。いいのか……そうか……」
何やら胸を押さえほっとした様子の隆政の横で、美織はスマホでソファーベッドの検索を始めた。
「ソファーベッド、ソファーベッドー……ふぅん、ピンからキリまであるわねぇ……どのくらいのものがいいかなぁ……」
そんな独り言のような美織の言葉に隆政が答える。
「一応俺も探しておいたよ」
「え?ほんと?」
「ああ。この間、みおの部屋の寸法を図って知り合いの家具屋に聞いてみたんだ」
知り合いの家具屋??
ここで、美織はまた突如既視感に襲われた。
安政くんの時も「知り合いの石材店」ではなかったか?
嫌な予感が沸き上がりつつも、それを目一杯抑え込み尋ねてみた。
「へぇ……それで?」
「ちょうどいいサイズのやつがあるって!イタリアから直輸入したデザイナーズブランドの……」
(やっぱりね、そんなことだろうと思った……もう決めてたんじゃない!)
とはいえ隆政の身長に合う物となると海外物の方がいいかもしれない。
そう思い直して、既視感と複雑な気持ちは忘れることにした。
「いいのがあるならそれにしようか?お金は半分出すし……」
「はぁ!?そんなのは俺が出す!金の心配なんかする必要はないぞ」
「え?でも私も使うのに??悪いわよー」
その美織の言葉が隆政の何かに火をつけた。
さっと変わった顔色に、ヤバイと思ったがもう既に遅し。
「悪い?俺にか?……遠慮なんてしてほしくない………金を半分出して対等の立場でいたいと思っているのかもしれないが……それは無意味なことだ」
「……それは、隆政さんに従えっていうこと?」
「違う。俺とみおは対等になれない。それは、俺がみおのことを好きすぎるからだ。常にみおは俺より上にいる。だから無理なんだ」
「…………ん?」
「まぁ、つまり……好きすぎて逆らえないってこと」