この溺愛にはワケがある!?
「隆政さん。今取り込んでるの、出直していらっしゃい」
と、小夏は努めて冷静に言った。
「………そうですね、そうしますよ」
何だか知らないが巻き込まれては堪らない。
隆政はさっさとその場を去ろうとした。
「待て」
「は?……何か?」
行政は背中を向けたまま、隆政を呼び止めた。
「お前には見合いをしてもらう」
「見合い!?何でまた……」
女と別れろと言ってきたと思えば、今度は見合い。
どう考えても冷静でない行政の言動に、隆政は呆れ返った。
だが「どうしてだ?」と問う気にもならなかった。
わざわざ火に油を注ぐ必要もない。
何度も言うが、隆政は面倒事が嫌なのだ。
「別に構いませんが?」
「そうか、日にちは後で調整する。それまでに、前の女はきっちりと精算しておけ。言っておくが、見合いが失敗した場合、お前は社長になれんからな」
「……どういう……意味ですか?」
行政は真正面から隆政を見た。
「見合い相手の美織さんを、お前が幸せに出来ないのなら、社長は譲れないということだ」
「え、と。つまり、その人と結婚出来なければ俺は社長になれないと……」
「そうだ、良く覚えておけ」
(なんだそれは……爺さんはまるで、その美織とか言う女に全ての財産を渡したいみたいじゃないか。まさか、隠し子……いや、孫……?)
隆政は行政の様子を細かく観察した。
ここに来た時よりは随分冷静になっている。
とち狂った訳でもなさそうだ。
それは、目の前で未だ能面のような小夏の様子からも理解できる。
行政がおかしくなったのなら、小夏が止めに入るはず。
それをしないのは小夏は渋々ながら了承しているということだ。
「わかりました。また、連絡してください」
隆政はそう言って部屋を去った。
本宅の玄関から駐車場までの庭をぬけながら、老夫婦の喧嘩の原因を考えてみた。
『七重』『美織』この2つのキーワードが関係していることに間違いはないだろう。
行政の愛人か。またはその子か孫。
そうだとしても、隆政は見合いをして『美織』という人と結婚する。
これも決定事項なのだ。
と、小夏は努めて冷静に言った。
「………そうですね、そうしますよ」
何だか知らないが巻き込まれては堪らない。
隆政はさっさとその場を去ろうとした。
「待て」
「は?……何か?」
行政は背中を向けたまま、隆政を呼び止めた。
「お前には見合いをしてもらう」
「見合い!?何でまた……」
女と別れろと言ってきたと思えば、今度は見合い。
どう考えても冷静でない行政の言動に、隆政は呆れ返った。
だが「どうしてだ?」と問う気にもならなかった。
わざわざ火に油を注ぐ必要もない。
何度も言うが、隆政は面倒事が嫌なのだ。
「別に構いませんが?」
「そうか、日にちは後で調整する。それまでに、前の女はきっちりと精算しておけ。言っておくが、見合いが失敗した場合、お前は社長になれんからな」
「……どういう……意味ですか?」
行政は真正面から隆政を見た。
「見合い相手の美織さんを、お前が幸せに出来ないのなら、社長は譲れないということだ」
「え、と。つまり、その人と結婚出来なければ俺は社長になれないと……」
「そうだ、良く覚えておけ」
(なんだそれは……爺さんはまるで、その美織とか言う女に全ての財産を渡したいみたいじゃないか。まさか、隠し子……いや、孫……?)
隆政は行政の様子を細かく観察した。
ここに来た時よりは随分冷静になっている。
とち狂った訳でもなさそうだ。
それは、目の前で未だ能面のような小夏の様子からも理解できる。
行政がおかしくなったのなら、小夏が止めに入るはず。
それをしないのは小夏は渋々ながら了承しているということだ。
「わかりました。また、連絡してください」
隆政はそう言って部屋を去った。
本宅の玄関から駐車場までの庭をぬけながら、老夫婦の喧嘩の原因を考えてみた。
『七重』『美織』この2つのキーワードが関係していることに間違いはないだろう。
行政の愛人か。またはその子か孫。
そうだとしても、隆政は見合いをして『美織』という人と結婚する。
これも決定事項なのだ。