この溺愛にはワケがある!?
隆政を一旦仏間兼居間に案内すると、美織は昼御飯の支度に取りかかる。
手伝うと言われたが、それは丁寧に辞退しておいた。
美織は自分のスペースに入られるのが嫌いなのだ。
特に台所は自分の好きなように使いたいので、祖母以外には踏み込ませたくなかった。
炊き上がったご飯をチェックして、冷蔵庫で下味を付けた鳥ももを出し、メインの唐揚げを作る。
油を適温にしてる間に汁物とサラダ、お浸しも用意した。
そして段取り良く準備を済ませ、廊下を挟んだ居間の隆政に声を掛けようとした……。
その時だった。
美織は仏壇でお線香をあげる隆政を見た。
その横顔はいつか見た行政にとても良く似ている。
違う所といえば、隆政は行政のように辛そうな顔をしていなかったことだ。
彼は声を掛けるのも躊躇わせるほど熱心に手を合わせ、静かに何か語りかけている。
美織はその様子を廊下からこっそりと覗き、聞き耳をたてた。
「………七重さん。美織さんのお父さん、お母さん。俺は黒田隆政、黒田行政の孫です。縁あって今、美織さんとお付き合いしています………あの、過去にうちの祖父と何があったかは知りませんが、七重さんには感謝しています。美織さ……みおと会えたのは七重さんのお陰のような気がして……俺は……これまであまり誠実な生き方をして来ませんでした。ですが、これからはみおをきっと幸せにするとお約束します。ですから……宜しくお願いします……」
美織はそっと足音をたてずに後ずさった。
仏壇の七重と両親に語りかける隆政の表情はとても必死で真剣だった。
それはもう結婚の承諾を貰いに来た男のように……。
その言葉のせいだろうか。
美織の頬には熱が集中し湯気でも噴き出しているかのようだ。
ふと、台所に掛けてある鏡を覗くと、そこには真っ赤に頬を染める女が映っていた。
仏壇の向こうで七重と両親はどう思っただろう。
怒るだろうか、笑うだろうか?
なんてことを考えながら、冷蔵庫から出したミネラルウォーターで火照る頬を急いで冷やした。
手伝うと言われたが、それは丁寧に辞退しておいた。
美織は自分のスペースに入られるのが嫌いなのだ。
特に台所は自分の好きなように使いたいので、祖母以外には踏み込ませたくなかった。
炊き上がったご飯をチェックして、冷蔵庫で下味を付けた鳥ももを出し、メインの唐揚げを作る。
油を適温にしてる間に汁物とサラダ、お浸しも用意した。
そして段取り良く準備を済ませ、廊下を挟んだ居間の隆政に声を掛けようとした……。
その時だった。
美織は仏壇でお線香をあげる隆政を見た。
その横顔はいつか見た行政にとても良く似ている。
違う所といえば、隆政は行政のように辛そうな顔をしていなかったことだ。
彼は声を掛けるのも躊躇わせるほど熱心に手を合わせ、静かに何か語りかけている。
美織はその様子を廊下からこっそりと覗き、聞き耳をたてた。
「………七重さん。美織さんのお父さん、お母さん。俺は黒田隆政、黒田行政の孫です。縁あって今、美織さんとお付き合いしています………あの、過去にうちの祖父と何があったかは知りませんが、七重さんには感謝しています。美織さ……みおと会えたのは七重さんのお陰のような気がして……俺は……これまであまり誠実な生き方をして来ませんでした。ですが、これからはみおをきっと幸せにするとお約束します。ですから……宜しくお願いします……」
美織はそっと足音をたてずに後ずさった。
仏壇の七重と両親に語りかける隆政の表情はとても必死で真剣だった。
それはもう結婚の承諾を貰いに来た男のように……。
その言葉のせいだろうか。
美織の頬には熱が集中し湯気でも噴き出しているかのようだ。
ふと、台所に掛けてある鏡を覗くと、そこには真っ赤に頬を染める女が映っていた。
仏壇の向こうで七重と両親はどう思っただろう。
怒るだろうか、笑うだろうか?
なんてことを考えながら、冷蔵庫から出したミネラルウォーターで火照る頬を急いで冷やした。