この溺愛にはワケがある!?
そして、午後四時。
朝も行ったスーパーに、今度は二人で買出しに行く。
美織がカゴを持とうとすると、横から出た腕がそれをさらって行った。
一瞬のことにビックリして隣を見ると、隆政がカゴを手に楽しそうに笑っている。
「俺たち、夫婦に見えるかな?」
「ふっ!?……ど、どうかな……見えるかも?」
「だよな、うん!」
という隆政は緑のカゴを持ち、足取りも軽く青果コーナーをすり抜けていく。
スーパーになんてあまり行ったことのないだろう男は、綺麗に並んだ野菜を見てキラキラと目を輝かせていた。
「何が食べたい??」
「そうだなぁ、昼が肉だったから夜は魚とか?」
(……へぇ、そんな風にバランス考えるんだ……ふふっ、案外、ジジくさいのね……)
「魚ね!わかった」
美織は簡単に頭の中で献立を組み立て、慣れた手付きでポンポン食材をカゴにいれた。
そして次はメインの鮮魚コーナーに向かい、旬の大きめの鱈を二切れ選ぶ。
「これで何の料理を作るのかな?」
隆政はカゴを不思議そうに覗き込んだ。
「え?今知りたい?」
その質問に首を捻り、
「………いや、出来るまで楽しみにしておく!」
と、子供のような笑顔で言った。
午後六時、美織は夕食の支度に取りかかった。
居間で隆政はテレビを見ている。
また手伝いたそうにしていたが、倍くらい時間がかかりそうなので今回も辞退しておいた。
だが今度唐揚げを作る時には、手伝ってもらってもいいかもしれない。
そう考えて、美織は表情を和ませた。
その日の夕食は、鱈を使った白身魚の甘酢あんかけにした。
野菜もたっぷり使ってバランス良く仕上げ、寒くなってきたので茶碗蒸しと、お昼の残りのお浸しも添える。
こんな簡単なものなのに、やはり隆政は大袈裟に感動して見せた。
それは美織が恥ずかしくなるくらいで、こんなことならもっと手の込んだものにすれば良かった、と後悔したほどだ。
「旨い!!すごいな、何でもこんなに美味しく出来るなんて。天才なのか?」
(本気で言ってる??)
「普通ですから。一人暮らしの人だったら、多分誰でも出来るレベルの料理よ」
「そんなことない!俺は出来ないからな!!」
(威張って言うなっ!!とはいうものの、これだけ褒められると頬も弛んでしまう……大丈夫かな、私の顔、だらしないことになってないかな?)
と、隆政を見た。
だが彼は目の前の料理に夢中で、美織の顔など気にしていない。
ほっとした美織は、湯気立つ茶碗蒸しにスプーンを差し込み、ふぅふぅと冷ましてから口にいれた。
朝も行ったスーパーに、今度は二人で買出しに行く。
美織がカゴを持とうとすると、横から出た腕がそれをさらって行った。
一瞬のことにビックリして隣を見ると、隆政がカゴを手に楽しそうに笑っている。
「俺たち、夫婦に見えるかな?」
「ふっ!?……ど、どうかな……見えるかも?」
「だよな、うん!」
という隆政は緑のカゴを持ち、足取りも軽く青果コーナーをすり抜けていく。
スーパーになんてあまり行ったことのないだろう男は、綺麗に並んだ野菜を見てキラキラと目を輝かせていた。
「何が食べたい??」
「そうだなぁ、昼が肉だったから夜は魚とか?」
(……へぇ、そんな風にバランス考えるんだ……ふふっ、案外、ジジくさいのね……)
「魚ね!わかった」
美織は簡単に頭の中で献立を組み立て、慣れた手付きでポンポン食材をカゴにいれた。
そして次はメインの鮮魚コーナーに向かい、旬の大きめの鱈を二切れ選ぶ。
「これで何の料理を作るのかな?」
隆政はカゴを不思議そうに覗き込んだ。
「え?今知りたい?」
その質問に首を捻り、
「………いや、出来るまで楽しみにしておく!」
と、子供のような笑顔で言った。
午後六時、美織は夕食の支度に取りかかった。
居間で隆政はテレビを見ている。
また手伝いたそうにしていたが、倍くらい時間がかかりそうなので今回も辞退しておいた。
だが今度唐揚げを作る時には、手伝ってもらってもいいかもしれない。
そう考えて、美織は表情を和ませた。
その日の夕食は、鱈を使った白身魚の甘酢あんかけにした。
野菜もたっぷり使ってバランス良く仕上げ、寒くなってきたので茶碗蒸しと、お昼の残りのお浸しも添える。
こんな簡単なものなのに、やはり隆政は大袈裟に感動して見せた。
それは美織が恥ずかしくなるくらいで、こんなことならもっと手の込んだものにすれば良かった、と後悔したほどだ。
「旨い!!すごいな、何でもこんなに美味しく出来るなんて。天才なのか?」
(本気で言ってる??)
「普通ですから。一人暮らしの人だったら、多分誰でも出来るレベルの料理よ」
「そんなことない!俺は出来ないからな!!」
(威張って言うなっ!!とはいうものの、これだけ褒められると頬も弛んでしまう……大丈夫かな、私の顔、だらしないことになってないかな?)
と、隆政を見た。
だが彼は目の前の料理に夢中で、美織の顔など気にしていない。
ほっとした美織は、湯気立つ茶碗蒸しにスプーンを差し込み、ふぅふぅと冷ましてから口にいれた。