この溺愛にはワケがある!?
「え?」
当然隆政は呆気にとられている。
勘の良い彼も、この言葉の意味を把握出来ないくらいには混乱していたに違いない。
「……あ、あー………えーと、あはっ!」
美織は笑ってごまかそうとしたが、そのごまかしが逆に隆政の勘を取り戻させた。
彼はいつか見たドS悪魔の顔をして、不敵な笑みを浮かべている。
そしてここぞとばかりに色気を振り撒きながら、美織を下から覗き込んで言う。
「帰って欲しくない??」
その声の艶やかなことといったら!!
美織は隆政のその声が好きだと、出会った時から思っていた。
でも、それを彼に伝えたことはない。
伝える機会もなかったし、伝えようとも考えていなかった。
隆政が、自分の声を美織が気に入っているなどと、気付くことはないだろう。
しかし、だ。
さっきの色気のある声は、それに気づいているかのような確信に満ちていた。
不敵な笑みのまま、美織の様子を余すことなく観察する隆政。
その前で美織は目を泳がせた。
「なぁ、言ってくれよ?帰って欲しくないって」
「………く……ない」
「聞こえないよ、ほらもっとハッキリ。いつものように、仕事中、応対するようにちゃんと言って」
いつの間にか、隆政の顔からは不敵な笑みが消えている。
その真摯な態度に美織の心も幾分か軟化した。
そして何故か悔しいと意地を張って言えなかった言葉が、びっくりするくらい素直に出てきたのだ。
「帰って欲しくない。淋しいから……おかしいと思う?」
「思うわけない。俺も同じだから。でも……いいのか?」
「何が?」
「本当に俺を受け入れていいのか?」
ここで初めて隆政が弱気になる。
それは美織が自分を受け入れて、後で悔やまないようにとの最終確認であったようだ。
(もちろん、不安はある。だけど、それよりももっと深いところで彼を知りたいと思う自分がいる。好奇心?何だろう?ちがうな、きっと……ああ、そうだ………これって……)
「うん。後悔しないと思う。変だと思うよね。地球が滅亡しても結婚しない!とか、まぁ……いろいろ言ったのに……ね」
「言われたな……あの時は申し訳ない……」
と、隆政は頭をかいた。
「えっと、そうじゃなくてね。あんなに酷いこと言ったのに、今、掌返したみたいにこんなこというなんて、私もいい加減変な女だなと思うし、付き合ったばっかりで誘うようなことを言ったり………」
グダグダと言い訳染みたことを並べ始めた美織の体は、一瞬で何かにつつまれた。
テーブルを回り込んで来た、彼の腕に抱き締められるまでほんの1秒。
大きな体に似合わない俊敏な動きで、隆政は一気に距離を詰めた。
「たっ!たかまっ……」
「うん。もう黙ろうか」
「だまっ!?ん?」
「好きだよ」
耳の側で聞こえた声の破壊力は、それまでのものと全然違った。
お腹の奥から何かが沸き上がって背筋へ抜けていき、耳から首筋にかけては痺れたようにジンジンしている。
「大好きだよ」
ダメ押しをされたようだった……。
何かに心と体を囚われる瞬間があるのなら、今が正にそれだろう。
(最初からそうだった。この声……この良く眠れそうな声に私は惹かれてた。そして、今はこの人そのものに)
痺れをもたらすその唇で、隆政は美織の唇を塞ぐ。
もう言い訳も、後悔もしない。
それを紡ぐ唇すら塞がれているのに、何も出来やしないから。
耳の痺れも首筋の痺れもまだ続いていて、その中にゆっくりと唇の痺れも加わった。
緩慢な時間の中で、美織は腕を隆政の頭に回し、自分を静かに押し倒して行く彼に身を任せる。
その時、天井の模様を見て美織はあることを思い出した。
そして、唇を離し隆政に尋ねる。
「ねぇ、布団はいつ敷くの?今?それとももう少し後??ずっと考えてるけどタイミングがわからないの」
隆政は良く通る声で笑い、蕩けそうな微笑みを美織に向けた。
当然隆政は呆気にとられている。
勘の良い彼も、この言葉の意味を把握出来ないくらいには混乱していたに違いない。
「……あ、あー………えーと、あはっ!」
美織は笑ってごまかそうとしたが、そのごまかしが逆に隆政の勘を取り戻させた。
彼はいつか見たドS悪魔の顔をして、不敵な笑みを浮かべている。
そしてここぞとばかりに色気を振り撒きながら、美織を下から覗き込んで言う。
「帰って欲しくない??」
その声の艶やかなことといったら!!
美織は隆政のその声が好きだと、出会った時から思っていた。
でも、それを彼に伝えたことはない。
伝える機会もなかったし、伝えようとも考えていなかった。
隆政が、自分の声を美織が気に入っているなどと、気付くことはないだろう。
しかし、だ。
さっきの色気のある声は、それに気づいているかのような確信に満ちていた。
不敵な笑みのまま、美織の様子を余すことなく観察する隆政。
その前で美織は目を泳がせた。
「なぁ、言ってくれよ?帰って欲しくないって」
「………く……ない」
「聞こえないよ、ほらもっとハッキリ。いつものように、仕事中、応対するようにちゃんと言って」
いつの間にか、隆政の顔からは不敵な笑みが消えている。
その真摯な態度に美織の心も幾分か軟化した。
そして何故か悔しいと意地を張って言えなかった言葉が、びっくりするくらい素直に出てきたのだ。
「帰って欲しくない。淋しいから……おかしいと思う?」
「思うわけない。俺も同じだから。でも……いいのか?」
「何が?」
「本当に俺を受け入れていいのか?」
ここで初めて隆政が弱気になる。
それは美織が自分を受け入れて、後で悔やまないようにとの最終確認であったようだ。
(もちろん、不安はある。だけど、それよりももっと深いところで彼を知りたいと思う自分がいる。好奇心?何だろう?ちがうな、きっと……ああ、そうだ………これって……)
「うん。後悔しないと思う。変だと思うよね。地球が滅亡しても結婚しない!とか、まぁ……いろいろ言ったのに……ね」
「言われたな……あの時は申し訳ない……」
と、隆政は頭をかいた。
「えっと、そうじゃなくてね。あんなに酷いこと言ったのに、今、掌返したみたいにこんなこというなんて、私もいい加減変な女だなと思うし、付き合ったばっかりで誘うようなことを言ったり………」
グダグダと言い訳染みたことを並べ始めた美織の体は、一瞬で何かにつつまれた。
テーブルを回り込んで来た、彼の腕に抱き締められるまでほんの1秒。
大きな体に似合わない俊敏な動きで、隆政は一気に距離を詰めた。
「たっ!たかまっ……」
「うん。もう黙ろうか」
「だまっ!?ん?」
「好きだよ」
耳の側で聞こえた声の破壊力は、それまでのものと全然違った。
お腹の奥から何かが沸き上がって背筋へ抜けていき、耳から首筋にかけては痺れたようにジンジンしている。
「大好きだよ」
ダメ押しをされたようだった……。
何かに心と体を囚われる瞬間があるのなら、今が正にそれだろう。
(最初からそうだった。この声……この良く眠れそうな声に私は惹かれてた。そして、今はこの人そのものに)
痺れをもたらすその唇で、隆政は美織の唇を塞ぐ。
もう言い訳も、後悔もしない。
それを紡ぐ唇すら塞がれているのに、何も出来やしないから。
耳の痺れも首筋の痺れもまだ続いていて、その中にゆっくりと唇の痺れも加わった。
緩慢な時間の中で、美織は腕を隆政の頭に回し、自分を静かに押し倒して行く彼に身を任せる。
その時、天井の模様を見て美織はあることを思い出した。
そして、唇を離し隆政に尋ねる。
「ねぇ、布団はいつ敷くの?今?それとももう少し後??ずっと考えてるけどタイミングがわからないの」
隆政は良く通る声で笑い、蕩けそうな微笑みを美織に向けた。