この溺愛にはワケがある!?
「お、おはようございます!お久しぶりです」
「おはよう!!さ、入って!お茶いれようね?紅茶がいいかな?日本茶がいいかな?それともコーヒーかな?」
と、隆政をぐいぐいと押し退けながら美織を高そうなソファーへエスコートした。
「あ、いえ。お構い無く」
「ははっ、構いたいんだよ。うちは、ほら、男ばかりの孫だから。女の子の孫が欲しかったんだ」
と、行政は大きな声で笑った。
「みお、こう言ってるんだから甘えていいよ」
しょうがねーなというような顔の隆政は美織の隣に腰かけながら言う。
「え、あ、うん。すみません。では日本茶を」
「うん!じゃあ少し待ってて」
行政は内線でどこかに電話すると、ニコニコしながら美織の正面に座った。
「今日は朝早くからお手伝いどうもありがとう!」
「いえ、こちらこそ参加させて頂いて嬉しいです」
「その振袖、とても良く似合っているよ」
「あ、これ、隆政さんに選んで頂いたんです」
「そうかい、へぇ?こいつがねぇ?」
と、行政はからかうように隆政を見た。
見られた隆政はばつの悪そうな顔をして俯き、覗き込む美織と目が合うとはにかんだように笑った。
その様子を感慨深げに眺める行政は、何かを思い出したように立ち上がるとデスクの引出しを探った。
そして、一枚の紙を美織の前に差し出した。
「これ、おばあちゃ……あ、祖母ですか!?」
それは、古びたセピア色の写真。
何度も見たのか、日に焼けていて色味は良くわからない。
背の高い男性の側で、寄り添って立つ背の低い小紋の着物の女性。
その人のことを美織が間違える筈がなかった。
「そうだよ、七重さんだ。そして、隣は私だ」
「あ……そういえば……」
写真の男性は、隆政に少し似ていた。
顔立ち、体格、笑い方。
行政を若くすれば、きっとこうなるだろうという要素がふんだんに盛り込まれている。
「なるほどな。噂の七重さんはやっぱり爺さんの知り合いか……いや、知り合いというか……」
隆政は探るように行政を見る。
「私はね……昔、七重さんとお付き合いをしていたんだ」
「え……?祖母と?」
目を細めた行政と目を丸くした美織。
何かあるとは思っていた。
それが、惚れた腫れたの類いであることも。
だが、そこまで親密な関係だとは知らなかった。
「私の一目惚れでね。だけど……ある日突然振られてしまった」
「……そう、なんですか……」
(まぁ、そうだよね……おばあちゃんはおじいちゃんと結婚したんだから……でも何で突然振ったの!?)
「それでも私は忘れたことはなかったよ。七重さんを……彼女が死んで半年遅れて手紙を渡された時、私は……酷く妻を責めた」
「あの言い合いはそういうことか……」
隆政の言葉に行政は答えなかった。
ただ、その沈黙が答えだと言うように目を伏せた。
「おはよう!!さ、入って!お茶いれようね?紅茶がいいかな?日本茶がいいかな?それともコーヒーかな?」
と、隆政をぐいぐいと押し退けながら美織を高そうなソファーへエスコートした。
「あ、いえ。お構い無く」
「ははっ、構いたいんだよ。うちは、ほら、男ばかりの孫だから。女の子の孫が欲しかったんだ」
と、行政は大きな声で笑った。
「みお、こう言ってるんだから甘えていいよ」
しょうがねーなというような顔の隆政は美織の隣に腰かけながら言う。
「え、あ、うん。すみません。では日本茶を」
「うん!じゃあ少し待ってて」
行政は内線でどこかに電話すると、ニコニコしながら美織の正面に座った。
「今日は朝早くからお手伝いどうもありがとう!」
「いえ、こちらこそ参加させて頂いて嬉しいです」
「その振袖、とても良く似合っているよ」
「あ、これ、隆政さんに選んで頂いたんです」
「そうかい、へぇ?こいつがねぇ?」
と、行政はからかうように隆政を見た。
見られた隆政はばつの悪そうな顔をして俯き、覗き込む美織と目が合うとはにかんだように笑った。
その様子を感慨深げに眺める行政は、何かを思い出したように立ち上がるとデスクの引出しを探った。
そして、一枚の紙を美織の前に差し出した。
「これ、おばあちゃ……あ、祖母ですか!?」
それは、古びたセピア色の写真。
何度も見たのか、日に焼けていて色味は良くわからない。
背の高い男性の側で、寄り添って立つ背の低い小紋の着物の女性。
その人のことを美織が間違える筈がなかった。
「そうだよ、七重さんだ。そして、隣は私だ」
「あ……そういえば……」
写真の男性は、隆政に少し似ていた。
顔立ち、体格、笑い方。
行政を若くすれば、きっとこうなるだろうという要素がふんだんに盛り込まれている。
「なるほどな。噂の七重さんはやっぱり爺さんの知り合いか……いや、知り合いというか……」
隆政は探るように行政を見る。
「私はね……昔、七重さんとお付き合いをしていたんだ」
「え……?祖母と?」
目を細めた行政と目を丸くした美織。
何かあるとは思っていた。
それが、惚れた腫れたの類いであることも。
だが、そこまで親密な関係だとは知らなかった。
「私の一目惚れでね。だけど……ある日突然振られてしまった」
「……そう、なんですか……」
(まぁ、そうだよね……おばあちゃんはおじいちゃんと結婚したんだから……でも何で突然振ったの!?)
「それでも私は忘れたことはなかったよ。七重さんを……彼女が死んで半年遅れて手紙を渡された時、私は……酷く妻を責めた」
「あの言い合いはそういうことか……」
隆政の言葉に行政は答えなかった。
ただ、その沈黙が答えだと言うように目を伏せた。