この溺愛にはワケがある!?
「き、気に入る?って……あの、今日会ったばかりですよ!そんなことわかりません!」
「なんでだ?何がわからない?この俺が、みおと結婚してやってもいいって言ってるんだ。不満か?」
(………………ダメだ!これはダメなやつだ!ポンコツ過ぎる!)
美織は、目の前の完璧だった男が完全にポンコツに見えてゲンナリした。
自信家だろう、と思った美織の感は正しかった。
この男は相手に断られるなんてこれっぽっちも思っていない。
まぁこのルックスと家柄と資産。
放っておいても女が寄ってくるんだろう。
だがそれにしても思い込みが激しすぎる。
結婚してやってもいい、などと常識のある大人の男ならまず言わない。
はじめてのお見合いがこれとは……美織は最早、行政の気持ちなど慮ってはいられなかった。
「無理です………」
「無理って何が?」
うつむきながら低く唸るように言う美織を、隆政が覗き込む。
「あなたとは何があっても、例え地球が滅亡しても、結婚することはありません!どうか行政さんにそうお伝え下さい!さようならっ」
美織は立ち上り、さっと身を翻して障子を開けた。
「ちょっ……!おい!待て!」
慌てて後を追おうとする隆政に、美織は渾身の思いを込めて言い放った。
「うるさいっ!!ポンコツ!」
それから障子をバァンと思い切り閉めると、迷路のようにいりくんだ廊下を、ずんずんと音をたてて歩き去る。
奇跡的に迷わずに迷路を抜けると、美織は漸く一つ深く息を吐いた。
そして、休日を無駄に過ごしてしまったことを激しく後悔する。
住民課の窓口にも、変な人はたまに来るが、あんなポンコツに会ったのは初めてかもしれない。
あれが、あの行政の孫とは!
そして、あれが次の社長になるとは!
黒田造船も長くはないかも、と美織は他人事のように考えた。
(まぁ、どうでもいいか。あれだけ言えばもう私に関わろうとはしないだろうし。行政さんには申し訳ないけど、あれはない!絶対に!!)
美織は着物の裾をはしたなくはだけさせながら、ロビーを抜け大股で家に向かった。
「なんでだ?何がわからない?この俺が、みおと結婚してやってもいいって言ってるんだ。不満か?」
(………………ダメだ!これはダメなやつだ!ポンコツ過ぎる!)
美織は、目の前の完璧だった男が完全にポンコツに見えてゲンナリした。
自信家だろう、と思った美織の感は正しかった。
この男は相手に断られるなんてこれっぽっちも思っていない。
まぁこのルックスと家柄と資産。
放っておいても女が寄ってくるんだろう。
だがそれにしても思い込みが激しすぎる。
結婚してやってもいい、などと常識のある大人の男ならまず言わない。
はじめてのお見合いがこれとは……美織は最早、行政の気持ちなど慮ってはいられなかった。
「無理です………」
「無理って何が?」
うつむきながら低く唸るように言う美織を、隆政が覗き込む。
「あなたとは何があっても、例え地球が滅亡しても、結婚することはありません!どうか行政さんにそうお伝え下さい!さようならっ」
美織は立ち上り、さっと身を翻して障子を開けた。
「ちょっ……!おい!待て!」
慌てて後を追おうとする隆政に、美織は渾身の思いを込めて言い放った。
「うるさいっ!!ポンコツ!」
それから障子をバァンと思い切り閉めると、迷路のようにいりくんだ廊下を、ずんずんと音をたてて歩き去る。
奇跡的に迷わずに迷路を抜けると、美織は漸く一つ深く息を吐いた。
そして、休日を無駄に過ごしてしまったことを激しく後悔する。
住民課の窓口にも、変な人はたまに来るが、あんなポンコツに会ったのは初めてかもしれない。
あれが、あの行政の孫とは!
そして、あれが次の社長になるとは!
黒田造船も長くはないかも、と美織は他人事のように考えた。
(まぁ、どうでもいいか。あれだけ言えばもう私に関わろうとはしないだろうし。行政さんには申し訳ないけど、あれはない!絶対に!!)
美織は着物の裾をはしたなくはだけさせながら、ロビーを抜け大股で家に向かった。