君が隣にいるだけでいい。
この人には、嘘をつけない。

そう、悟った。

「ごめん、柊翔.....」

その優しさに委ねている私は、恥ずかしさよりも、悲しみの方が強かった。

彼は、そんな私を優しい手で頭を撫でる。

「美佐.....今日は一日中ここにいていい?」

ここ...とは私の部屋なのだろう。

私はそのまま頷いた。

「じゃあ、俺一旦自分の家に戻るわ。夜はどっか外食しよ?」

出かけてくる、とその一言だけ言うと、部屋を出ていった。

これも計算なのだろうか。
私を1人にしてくれたのかもしれない。

私はその間に、ぐちゃぐちゃになった顔を直しに、洗面所へ足を運んだ。

「酷い顔」

鏡に映る私の顔は本当に酷いものだった。よく人前にさらけ出せたなと思う。

それは友人、だったからなのかも。
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