君が隣にいるだけでいい。
お酒のせいなのか、照れのせいなのか、彼女の頬はほんのり赤い。

さっきまで他愛もない話をしていたのが嘘のように、衝撃が電流のようにビリリと私の体に走る。

「そ、そうだったんだ。全然気付かなかった。いつから付き合ってたの?」

「えっと....」

彼女は言いにくそうに目を逸らし、小さい声で言った。

「実は付き合ってないの。両親の勧めでね。自分でもびっくりしているんだけど...。なんか、成り行きで」

「成り行きって...。えっと...何?親同士が知り合いだったってこと?」

「...うん。そうだったみたい。笠原くん、あの笠原建設の次男らしくて。昔から父同士が仲良くて、結婚の話は何年も前から決まってたらしいの。まぁ、私もゆくゆくは家業を継ぐことになると思っていたから、婿をとることにはそんなに驚かなかったんだけど...。まさか、ね。相手が笠原くんだとは思わなかった」
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