君が隣にいるだけでいい。
「美佐....?」

「ん.....」

まともに会話ができない。
焦点が合わない。

フラッと倒れかけたときに、温かいものに包み込まれる。

柊翔が抱き抱えてくれたのか.....。

それだけ理解すると、あとはもうどうでもよかった。

「柊翔.....」

そのまま彼にしがみつく。

ふらついて、立てない、歩けない。

ちらっと横目で見た彼の顔は、すごく赤くなっていた。

「美佐....お前....」

自分でも何をやっているのかわからなくなる。
でも、柊翔に抱きしめられているこの時間は好きだ。

失恋のショックで、少しでもいいから、誰かに甘えたかったのかもしれない。
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