君が隣にいるだけでいい。
「すいません、もう一杯生下さい」

近くにいた店員を呼び寄せ注文した。

「ちょっと美佐!飲みすぎだって!」

「大丈夫。明日は休みだし。それに今、すごく飲みたい気分」

「だ、だからって.....」

止めてくる花乃を無視して、次から次へとビールを口に含む。

『ビール無きゃやってられねぇよ』
と言う父の言葉が今ならわかる。

そう。嫌なことくらい酔って忘れたい...。

頭がクラクラしてくるのと同時に、視界がぼやけてくる。
これは眠気なのか、酔ったのか、区別がつかないくらいに、頭が働かない。

「美佐!やっぱり飲みすぎだよ。大丈夫?立てる?」

花乃の話す声は聞こえるが、何と言っていたか、はっきりと分からない。

「....美佐、スマホ借りるからね」

テーブルに突っ伏した私は、そのまま眠りに落ちた。
< 4 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop