だって幼馴染。
キーンコーン・・・ガラガラっ
「せ、セーフ」
チャイムと同時にHRを始めようとしていた担任のなっちゃんが「ん~、おまけね」とあきれた笑顔で言うと、クラスの大半がクスクスと笑った。
自分の席に着くまでの通路をクラスメイトにからかわれながら席に着いた。
「七瀬ほぼ遅刻じゃん、また奥さんと喧嘩でもしたんですか?」
後ろの席の涼太が身を乗り出していたずらな笑顔で言ってきた。
「うるせ、黙っとけ」
奥さんというワードに内心ドキドキしながら言葉を返した。
はいはいと言いながらあっさり身を引いたが、俺の反応を見て面白がっているんだろう。
「仕事なんてしないで1日ゲームしてたいわ…ってことで、今日も一日頑張ろうね」
2年3組担任の相川なつみ、通称なっちゃん。
サバサバした性格で、サラッと教員らしくない現役高校生のような発言をするなっちゃんは、男女問わず生徒から人気があり、とてもとっつきやすく友達のような教師。歳が近いこともあり、ほかの教員とはできない話や感情を共感できるというのも人気の理由の一つだろう。教員にしては少し明るめの茶色い髪色に前髪をアメピンでとめたショートカットヘアがよく似合っている。
「いやどういうことでだよ!」
「また言ってる。先生がそれ言っちゃダメでしょ!」
今日も冷やかされながらHRを終えて「授業中寝るなよ~」と言いながら教室を出ていく。
「ねむ…」
ポケットに手を突っ込んで大胆に足を伸ばし、椅子に浅く座る。
ぼーっと前を向いてあくびをしているところでまた後ろの涼太に声をかけられた。
「そんなリラックスしてるけど今日変動授業で一限音楽に変更だよ」
「移動かよ、だっる」
一限から音楽とか最悪…朝からあんなハイトーンボイス聞いてられっかよ、頭痛くなるわ…。
「まあ体育になるよりましだろ。2組は体育だとよ、かわいそ~」
どうやら涼香のクラスは朝っぱらから体育らしい。
涼香の不機嫌な顔が目に浮かぶ。
「ニヤけてるニヤけてる、口角上がっちゃってますけど。また涼香のこと考えてたな」
「は、はぁ?ニヤけてねーしあいつのことも全然考えてねーし!」
涼香のことを考えてにやけるとか我ながらキモい。
しかもそれを涼太に見られるなんて失態すぎる…。
「ま、いいけど早く行こうぜ」
そう言った涼太の後ろをついて教室を出たところ、体育館に向かおうとする涼香とタイミング良くばったり鉢合わせる。
お互い立ち止まり、何も言わずにらみ合う。
「朝から運動なんて可哀そうに。ざまぁ、せいぜい頑張れや」
「っ…!?健康的で毎日一限体育にしてほしいくらいですけど?」
「はーん。…一人でやってろゴリラ。あ、ちげーや、1匹か」
はぁ?!とイライラむき出しの涼香に対し、勝ち誇ったような顔で「フッ」と鼻で笑って背を向けた。
「うっわ、ありゃねーわ。好きな子に取る態度じゃないわ」
おいて行かれた涼太が七瀬に追いついて言った。
「お前はほんとにいちいちうるさい。てか別に好きじゃないっつの…」
「素直になれって。女の子には優しくしないとね。…どうせ今日の朝もお前が無意味に突っかかって涼香の機嫌損ねたんじゃなくて?」
ギクッ…
涼太の完璧ドストライクな推測に言葉がない。
「・・・・・別に」
カーッ!エリカ様かよ!!そういった涼太の切れの良いツッコミも、今は鬱陶しくて仕方ない。いや、こいつはいつだって鬱陶しいか。
「でもほんと、あんまりひねくれてると嫌われんぞ」
「…わぁってるっての」
だからって急に態度を改めるわけにはいかないし、まずこの十何年間これで来てしまったからに、人が変わらないと無理だろう。
例えば、…た、例えば………
っていや想像すらできん。
なんたって気づいたのが中学の時だもんな。
気持ちに気付いたからってすでに修正できない年数一緒にいるし。
あー難しい。
「せ、セーフ」
チャイムと同時にHRを始めようとしていた担任のなっちゃんが「ん~、おまけね」とあきれた笑顔で言うと、クラスの大半がクスクスと笑った。
自分の席に着くまでの通路をクラスメイトにからかわれながら席に着いた。
「七瀬ほぼ遅刻じゃん、また奥さんと喧嘩でもしたんですか?」
後ろの席の涼太が身を乗り出していたずらな笑顔で言ってきた。
「うるせ、黙っとけ」
奥さんというワードに内心ドキドキしながら言葉を返した。
はいはいと言いながらあっさり身を引いたが、俺の反応を見て面白がっているんだろう。
「仕事なんてしないで1日ゲームしてたいわ…ってことで、今日も一日頑張ろうね」
2年3組担任の相川なつみ、通称なっちゃん。
サバサバした性格で、サラッと教員らしくない現役高校生のような発言をするなっちゃんは、男女問わず生徒から人気があり、とてもとっつきやすく友達のような教師。歳が近いこともあり、ほかの教員とはできない話や感情を共感できるというのも人気の理由の一つだろう。教員にしては少し明るめの茶色い髪色に前髪をアメピンでとめたショートカットヘアがよく似合っている。
「いやどういうことでだよ!」
「また言ってる。先生がそれ言っちゃダメでしょ!」
今日も冷やかされながらHRを終えて「授業中寝るなよ~」と言いながら教室を出ていく。
「ねむ…」
ポケットに手を突っ込んで大胆に足を伸ばし、椅子に浅く座る。
ぼーっと前を向いてあくびをしているところでまた後ろの涼太に声をかけられた。
「そんなリラックスしてるけど今日変動授業で一限音楽に変更だよ」
「移動かよ、だっる」
一限から音楽とか最悪…朝からあんなハイトーンボイス聞いてられっかよ、頭痛くなるわ…。
「まあ体育になるよりましだろ。2組は体育だとよ、かわいそ~」
どうやら涼香のクラスは朝っぱらから体育らしい。
涼香の不機嫌な顔が目に浮かぶ。
「ニヤけてるニヤけてる、口角上がっちゃってますけど。また涼香のこと考えてたな」
「は、はぁ?ニヤけてねーしあいつのことも全然考えてねーし!」
涼香のことを考えてにやけるとか我ながらキモい。
しかもそれを涼太に見られるなんて失態すぎる…。
「ま、いいけど早く行こうぜ」
そう言った涼太の後ろをついて教室を出たところ、体育館に向かおうとする涼香とタイミング良くばったり鉢合わせる。
お互い立ち止まり、何も言わずにらみ合う。
「朝から運動なんて可哀そうに。ざまぁ、せいぜい頑張れや」
「っ…!?健康的で毎日一限体育にしてほしいくらいですけど?」
「はーん。…一人でやってろゴリラ。あ、ちげーや、1匹か」
はぁ?!とイライラむき出しの涼香に対し、勝ち誇ったような顔で「フッ」と鼻で笑って背を向けた。
「うっわ、ありゃねーわ。好きな子に取る態度じゃないわ」
おいて行かれた涼太が七瀬に追いついて言った。
「お前はほんとにいちいちうるさい。てか別に好きじゃないっつの…」
「素直になれって。女の子には優しくしないとね。…どうせ今日の朝もお前が無意味に突っかかって涼香の機嫌損ねたんじゃなくて?」
ギクッ…
涼太の完璧ドストライクな推測に言葉がない。
「・・・・・別に」
カーッ!エリカ様かよ!!そういった涼太の切れの良いツッコミも、今は鬱陶しくて仕方ない。いや、こいつはいつだって鬱陶しいか。
「でもほんと、あんまりひねくれてると嫌われんぞ」
「…わぁってるっての」
だからって急に態度を改めるわけにはいかないし、まずこの十何年間これで来てしまったからに、人が変わらないと無理だろう。
例えば、…た、例えば………
っていや想像すらできん。
なんたって気づいたのが中学の時だもんな。
気持ちに気付いたからってすでに修正できない年数一緒にいるし。
あー難しい。