こおりざとう
こおりざとう
私、小川莉彩(おがわ りさ)。
突然ですが、只今ピンチです。
「……」
春の爽やかな朝…のはずなのに、机に向かって黙々とシャーペンを走らせている私。
「小川さん」
「ひゃい!」
急に名前を呼ばれて、反射的に出た声はとんでもなくおかしな声だった気がするけど、相手は顔色一つ変えず、こう言った。
「課題、出して」
ささやかな努力も虚しく、いちばん恐れていたセリフを言われてしまった。
「……ごめんなさい。もう少し…あと5…は無理かな、10分だけ待っててもらえませんか?あっ、無理には言わないし、そのときは自分で持っていくので!」
「…いえ、じゃあ10分後にまた来る」
数学係の氷室(ひむろ)くん。
髪は綺麗な黒髪なものの、耳にはチラホラとピアスがついている。おまけに目つきだって、お世辞にも良いとは言えない。
アイドル並みにかっこいい顔なのに、もったいない。特に目つき。
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