かわいい戦争


どうしてあの2人が?


……まさか勇祐くんの暴走を聞きつけて!?



マネージャーらしき人が顔面蒼白で率いているのを鑑みると、十中八九わたしの予想は当たっているんだろう。



「け、喧嘩って一体……きゃあっ!?」



駆け寄ってきたまろんちゃんが、傷だらけの過激派なファンを目撃してたじろぐ。


相反してリタは一切叫ばず、過激派なファンにそっと手を差し伸べた。



「大丈夫ですか?」



「えっ……り、リタちゃん!?」

「は、はい!!」

「大丈夫です!!!」

「リタちゃん……優しい……」

「好き……」




さっきまで屍と化していたのに、リタを一目みた瞬間、過激派なファンは元気になって立ち上がった。

推しパワーってすごい。



「何があったんですか?喧嘩があったと聞きましたが……」


「あ、あいつが!いきなり俺らを殴ってきて……!」



マネージャーらしき人が、一旦リタとまろんちゃんを後ろに下げたあと

事情を伺うと、仕返しするみたいに勇祐くんを指しながら息巻いた。




「おい、ご指名だぞ」


「ニヤニヤしてんじゃねぇよ。気持ち悪ぃ」


「またおもしれーことが始まりそうで、ついな」


「こっちは何も面白くねぇっつの。……あーまたイラついてきた」




一気に不機嫌になる勇祐くんを、天兒さんは他人ごとだからと機嫌よく喉を鳴らす。


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