かわいい戦争
マネージャーらしき人に手招きされ、勇祐くんは嫌々ながら近づいていく。
勇祐くんが接近するにつれて、過激派なファンはビクビク震え出す。
えっ、えっ。
これやばいんじゃないの?
大ごとになって問題になっちゃうんじゃないの!?
警察沙汰になったらどうしよう。
ライブ出禁になったらどうしよう。
勇祐くん、璃汰、大丈夫かな……。
「君、いきなり殴りかかったってのは本当か?」
「まあ……。でもそれはこいつらが……!!」
「嫌な思いをさせてしまってごめんなさい」
なんで。
リタが、謝るの。
誰よりも先に、なんでリタが、頭を下げるの。
勇祐くんの言い分を聞き終えてもいないのに。
リタは何も悪くないのに、なんで。
「璃汰が謝るのは違ぇだろうが!!」
「じゃああなたも謝りなさい。理由は何であれ、一方的に暴力を振るうのはいけないことよ」
「は?……うわっ!?」
あの暴れん坊の頭を、片手で無理やり下げさせる。
次いで、また自分の頭も垂れ下げた。
「すみませんでした」
「…………さっせん」
「すみませんでした!」
「す、すみません、でした……」