かわいい戦争
もはやあれは、璃汰流のしつけだ……。
わたしの目には厳しく映ってるけど、他のファンには寛大な印象を与えているようでよかった。
「り、リタちゃんにまで謝られちゃ……なぁ?」
「反省してるなら、まあ……」
「俺らも鬼じゃねぇし」
「許すから!リタちゃん!顔上げて!?」
リタはゆっくりと頭を持ち上げ、最高級の笑顔で「ありがとうございます」と告げれば。
過激派なファンはイチコロ。
勇祐くんに負わされた痛みなど、コロッと忘れてしまう。
リタのおかげで丸く収まったのは助かったけど……。
過激派なファンが、勇祐くんが全面的に悪いみたいな空気を醸し出してるのが、なんとなく癪に障る。
手を出した勇祐くんが悪いのはそうなんだけど!だけどさ!!
『オンナノコ*ソルジャー』を侮辱した彼らだって、わたしたちファンやグループメンバーの心を痛めつけたじゃんか。
不完全燃焼なわたしをよそに、場の混乱を避けるため、リタたちはこの場をあとにする。
「やっぱリタちゃんいいな!」
「優しすぎ!女神かよ」
「一生ついてく!」
「それに比べてどうよ」
「……あのツインテール?」
ピタリ。
まろんちゃんが硬直した。
合わせてリタも進むのをやめて、振り返る。
「まろんだっけ?あいつ何しに来たん」
「さあ?きゃーきゃー言われたかったんじゃない?」
「金魚の糞じゃん」
「一緒にいたって、リタちゃんの優しさが強調されるだけなのにな」
声量を抑えても、不快な内容ほどよく聞こえてしまうのはなぜだろう。