かわいい戦争
それだよ。
そうやって、突き刺してるんだよ。
言葉で、まろんちゃんの心を。
足は止まっているのに、まろんちゃんが振り向かないのが、何よりの証拠でしょう?
人が傷ついているのがわからないの?
自分たちが傷つけていることに、気づかないの?
「リタちゃんはあんなブスと一緒にいるレベルじゃ……」
「やめてください」
「え……」
波打つように広がっていた雑音が、途絶えた。
常にアイドルスマイルをキープしてた
あのリタが
凍てついた表情で睨むから。
「り、リタちゃ……?」
「これ以上仲間を愚弄したら、たとえファンでも許しませんよ」
きっと我慢してたんだ。
ライブのときから、ずっと。
必死に押し殺しながら歌って、踊って、謝って。
そしてついに耐えきれなくなった。
わたしにとってのマスクが、リタにとってはアイドルスマイルであったはずなのに、それすら取っ払ってしまうくらい。