かわいい戦争
◇
――一方、会場内に戻ったリタたちは。
マネージャーらしき人が騒動の報告のため2人のそばを離れた瞬間
まろんちゃんは、それまで背中をさすっていたリタの手を払いのけた。
「今更、仲間ぶらないでください」
リタからもらった赤いリボンをほどき、リタに投げつける。
「リタ先輩だけファンの前でいいところきめて、ずるいです。あたしの株を下げて、満足ですか?」
「そんなつもり……」
「そんなつもりない、わけがないですよね?」
初めてだった。
今まで憧れのリタにべったりで、懐いていたまろんちゃんが、別人のようにリタに歯向かうのは。
「いいですよね、リタ先輩は」
「……え?」
「自分だけ幸せな道に行けて」
「何、言って……」
「あたしたちを捨てる代わりに何もかも手に入って、どうです?気分いいですか?」
過去にも何度か、歴代の『オンナノコ*ソルジャー』のメンバーがソロで活動するために卒業したことはあった。
リタの卒業は、何も特別なことではないのだ。
……けれど。
「……こっちは気分最悪ですよ」
憧れ意識の強いまろんちゃんは、受け入れようとはしない。
反論しようとするリタに、聞きたくないと言わんばかりに背を向けた。