かわいい戦争






――一方、会場内に戻ったリタたちは。



マネージャーらしき人が騒動の報告のため2人のそばを離れた瞬間

まろんちゃんは、それまで背中をさすっていたリタの手を払いのけた。



「今更、仲間ぶらないでください」



リタからもらった赤いリボンをほどき、リタに投げつける。



「リタ先輩だけファンの前でいいところきめて、ずるいです。あたしの株を下げて、満足ですか?」


「そんなつもり……」


「そんなつもりない、わけがないですよね?」



初めてだった。

今まで憧れのリタにべったりで、懐いていたまろんちゃんが、別人のようにリタに歯向かうのは。




「いいですよね、リタ先輩は」


「……え?」


「自分だけ幸せな道に行けて」


「何、言って……」


「あたしたちを捨てる代わりに何もかも手に入って、どうです?気分いいですか?」




過去にも何度か、歴代の『オンナノコ*ソルジャー』のメンバーがソロで活動するために卒業したことはあった。


リタの卒業は、何も特別なことではないのだ。



……けれど。



「……こっちは気分最悪ですよ」



憧れ意識の強いまろんちゃんは、受け入れようとはしない。


反論しようとするリタに、聞きたくないと言わんばかりに背を向けた。


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