かわいい戦争
むかつく世界
夜中1時。
なんやかんやあったが無事に帰宅したあと、店じまいの片付けを手伝って。
ぐったりと疲れた体をようやく休められると思った矢先。
――ピコン♪
静かな部屋に、通知音がよく響いた。
『公園。今すぐ来て』
お姫さまからの緊急指令だ。
既にお風呂に入ってしまって、あとは寝るだけだったけれど、NOの選択肢は最初からない。
急いですっぴんの顔をマスクで覆い、シンプルなルームウェアの上からスカジャンを羽織る。
両親を心配させないよう物音を立てず、こっそり家を抜け出した。
小さな公園まで猛ダッシュ。
自己最高記録の速度で来てあげたのに、
「遅いわよ!」
開口一番は「ありがとう」でも「ごめん」でもなく、安定の文句だった。
「あたしが呼んだら1分以内に来なさいよ!」
「そんな無茶な……」
いくらなんでもそれはできないよ。
わたし、瞬間移動使えないし。
「わたしが寝てたらどうしたの?」
「電話で叩き起こすわよ」
「強引だね……」
そこまでしてわたしを呼びたかったのかな。
「こんな夜更けにわたしに用なんて珍しいね。どうしたの?」