かわいい戦争
わたしのと似たデザインの首元から胸元までレースをあしらった、アイボリーのマーメードドレスに
わたしのと色違いの濃いブラウンに染まる、ファーショールを合わせたコーディネート。
金色のエクステを付けて長くなった髪は、高い位置でお団子にまとめてる。
うっすらメイクもしてる。
本物の女の子みたい。
「ほんと?似合ってる?」
「ほんとにほんと!かわいすぎてびっくりしてる!」
不安げだったひつじくんは、縮ませていた身の緊張を解く。
「でも、なんで……」
ドレスを着て、車に乗ってるの?
「僕も、行くことにしたから」
「行くって……キャバクラに!?」
「うん。やっぱりカイリー1人じゃ、心配だから」
味方がいたら、わたしも心強いけど。
だけど。
「……いいの?」
嫌がってたのに。
無理してない?
わたしも、ひつじくんのことが心配だよ。
「うん、いいよ。嫌々じゃない。僕が、協力したいから、ここにいる」
穏やかにほころばれれば、もう何も心配いらない。
もう、無理してないね。