かわいい戦争
だけど、なんとなく、神雷の人たちと匂いが似通ってる。
容姿は特別整っているわけじゃないのに、かっこよくて。
左耳の上あたりに藍色のスカーフで結われた黒髪は、艶やかで。
中性的な顔立ちと黒い瞳は、大人びていて、危うく魅惑的。
目を引くオーラのような、カリスマ性のような。
そんなものが、彼女にもある。
神雷の中に混じっても、璃汰と並んでも、違和感がないくらい。
「あ、あの……成瀬さんは」
「やだな、やめてよ『成瀬さん』なんて。幸珀でいいよ」
「……こ、幸珀、さん……は、ひつじくんとどういう関係なんですか?」
「簡単に言うと、先輩と後輩なの」
先輩と、後輩とは?
「あ、幸珀さんも北校出身なんですか?」
「ううん、わたしは桜彩学園出身」
「え?そ、それじゃあ……勇祐くんの先輩で、そこから知り合ったんですか?」
「まあ確かにわたしは勇祐の先輩でもあるけど、そうじゃなくて」
「?」
「わたし、高校時代に神雷に入ってたの」
えっ!?
のリアクションも出てこない。
成瀬さんが、神雷に!?
驚愕に体が追い付かない。
でも信じられないわけじゃない。
不思議とすぐに納得はできた。