かわいい戦争




「わたくしをお呼びでしょうか」



2人のマナーの悪い男性客に、リンカさんが声をかけた。


ざわめきが、しん、と静まり返る。



「おー、あんたがリンカか。ナンバー1なだけあって美人だな」



龍司という男性がリンカさんを上から下までじっくり舐め回すように観察する。


それに拒絶反応を一切表さず、リンカさんはお酒でびしょ濡れのキャバ嬢2人に大きめのタオルをかけてあげた。



「俺らに酒入れろ。とびっきりいいやつを頼む」


「わたくしを指名してくださり誠にありがとうございます。しかし申し訳ありませんが、只今先約の指名が入っており、お客様をもてなすことができません。また日にちを改めて指名して……」


「はあ?」



ダンッ!!

龍司という男性がテーブルに足を置いた。


沖田という男性は咎めるどころか嘲笑う。




「キャバ嬢ごときが何言ってんの?俺ら客だぜ?なのに断るとかあり得る?あ、ナンバー1だから客選んでんの?サイテーだな!」


「……どのお客様も、わたくしにとって等しく大切なお客様です」


「等しく?いやいや、そこら辺にいる奴と俺を同列に扱われるとか心外だわ。俺、首長の息子だぜ?」


「ははっ、龍司さんそれ最高です!めっちゃ笑えます!」


「だろ?……この名前、使えんな」




男性客のテンションが一気に上がった気がする。

なんでだろう。

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