かわいい戦争
龍司という男性が、十蔵寺首長の息子?
仮に本当だからって、あんな態度取っていい理由にはならないでしょ!
……でも首長の息子というネームバリューに、ついつい臆して注意できなくなっちゃうのもわかる。
「あれ、嘘」
「え?」
ひつじくん、今なんて言った?
「あいつ、首長の息子じゃない」
「それほんと!?」
「うん。僕、本物を知ってる」
男性客にガンを飛ばすひつじくんの豹変っぷりに、お客さんは混乱してるが今はそれどころじゃない。
衝動的に立ち上がっていた。
「首長の息子が直々に指名してやってんだ。断るわけねぇよな?」
「ほら、こっち来いよ。誠心誠意もてなしてもらおうか」
沖田という男性が強引にリンカさんの腕を引っ張り、龍司という男性の隣に座らせる。
2人に肩を抱かれ、頬を撫でられ。
表情には出さなくても、血相は悪くなっていく。
リンカさんを助けなきゃ!
――ドンッ!!
テーブルを拳で強く叩いた。
拳がジンジンして痛む。
「なんだこいつ」
「……あれ?この女メイクケバいけど、もしかしてリ……」
「リンカさんを、放して」
沖田という男性の凝視を完全無視して、リンカさんにまとわりついてる腕や手を睨みつけた。