かわいい戦争
わたしは真実を確かめたかっただけ。
璃汰の苦痛を取り除きたかっただけ。
自己満足のためにやっただけに過ぎない。
璃汰も自分勝手でいいんだよ。
無理に相手に合わせなくていい。
璃汰とリンカさんの溝は、そう容易く埋められるものじゃないから。
「……あいつ、都合が良すぎるのよ。今更あんなこと言われても信じられるわけないじゃない……」
「うん」
「大事な娘とか、宝とか、かけがえのない娘とか、唯一の光とか、生きる意味とか……気色悪いことばっかり。あたしはあいつの元に産まれて後悔してるっていうのに、なんで……なんであいつは……っ」
「うん……」
「あいつが家族っていう居場所をぶち壊したくせに!信じさせてみせる?笑わせないでよ!」
「うん、そうだね」
「あいつの愛なんか要らない。あいつに幸せにしてもらう義理なんかない。居場所も、自分で作る」
親指に一粒の雫が滴った。
「……だけど、」
トン、と右肩に璃汰の額が落ちてきた。
ふわふわのファーショールに、ホワイトピンクの髪が垂れる。
「ちょっと、嬉しかったの」
「うん、そっか」
「ちょっとだけよ」
リンカさんの言葉、響いてたんだね。
「でも嫌いなものは嫌いよ」
「うん」
「……それで、いいのよね?」
「いいんだよ。それが璃汰の本心なら、それでいいの」
璃汰は頑張らなくてもいい。
今まで自分の居場所のために、たくさん頑張ってきたんだもん。
次はリンカさんが居場所を頑張って作って守る番。
璃汰が手を伸ばすんじゃない。
リンカさんが歩み寄って、璃汰の手を取るんだよ。
その手を離すのか、受け入れるのか。
決めるのは、璃汰自身。
それがきっと、不器用な2人の在り方。