かわいい戦争
裏口から外に出た。
お酒と香水にやられた鼻に、外の空気をめいっぱい送り込む。
わたしにキャバクラはやっぱり早かったみたい。
「皆、協力してくれてありがとう!」
「どーいたしましてー」
「じゃあわたしはこのまま家に帰るね。このドレスは洗って……」
「お前んちってラーメン屋だったっけか。ちょうど腹減ってるし、行くか」
「……はい?」
ドレスを洗って返す、と言い終えたら解散だったのに。
天兒さんの突拍子もない案は、いつだって心臓に悪い。
「行くか、って……え!?ちょ、ちょっと待ってください!」
「おめーらもラーメンでいいか?」
「うん、賛成」
「海鈴ちゃんちのラーメン、すっげーうまいしね~」
「行く行く!つーか行きたい!」
「……嘘……」
まさかの満場一致。
売上に貢献してくれるのは嬉しいし、潜入捜査に協力してくれたんだからお礼にサービスしてあげたいのは山々なんだけど……。
このメンツがうちに来るの?
イケメンで、神雷で、普通じゃない彼らが?
不安でたまらない。
「おら、案内しろよ」
「わ、わたしの意見は……」
「聞く必要あるか?」
「……ない、ですよね……」
横暴な天兒さんに逆らえるはずがございません。