かわいい戦争
仕方なく彼らを率いて帰路をたどった。
キャバクラから家まではさほど遠くはない。
どちらも同じ繁華街で店を構えてるのだから当然だ。
ウェイター役だった3人はバイクを引きずりながら、「素野真汰の店」の看板前までやってきた。
「ハッ、いい名前してんじゃねぇか。嫌いじゃないぜ?」
「利希の趣味は歪んでっからな~。褒められてもあんま嬉しくないかもね」
「お、俺もいい名前だと思うぜ!?」
「ゆうたん、フォロー、下手」
後ろでごちゃごちゃ言われてますが。
そのさらに後ろからの好奇と嫉妬の視線で、こっちはいっぱいいっぱいなんです!
家に到着するまでの短い間でも、神雷のファンらしき女の子からは陰口を叩かれ、ガラの悪い不良からは神雷に向けた尊敬やら挑発やらビシバシ当たって。
わたしのメンタルは既にボロボロ。
うちの店の名前をどう思われようが、この際どうだっていいんです!
早くお店に入ってリラックスしたい……!
「ん~!ここのラーメンは世界一だね!」
扉に手をかける寸前。
中から聞き覚えのある声が聞こえた。
嬉しすぎる感想!
……じゃなくて。
今の声って、もしかして……。