かわいい戦争
ガラガラと戸をスライドさせる。
熱のこもった空気とラーメンのいい匂いが一緒くたになってわたしたちを包み込んだ。
「た、ただいま」
「おかえり。遅かったな」
「あら、おかえりなさい」
「お母さん!?」
調理場にいるお父さんだけでなく、今日はお母さんも働いてる。
いつもは上で横になってるのに、どうして。
「寝てなくていいの?」
「心配しなくても大丈夫よ。今日は体調がいいの」
「わ、わたしも手伝うよ!」
「ありがとう。でも友達連れて来てるんでしょ?なら一緒に食べちゃいなさい」
お母さんは後ろの4人に目配せして、にっこり破顔する。
と、友達……?
彼らと、わたしが?
その発想はなかった。
友達か……。
天兒さん……はたぶん、いや絶対違うだろうけど、勇祐くんとひつじくんはそうなのかな。
未來くんは……わたしのことどう思ってるんだろう。
わたしは未來くんと友達じゃ……や、だな。
「そういえば今度、たかやんと弘也がこっち遊びに来るんだって!」
「まじか!」
「だからどうせなら朔も誘って、皆でご飯でも行かない?」
あ、この声。
2つの声どちらも知ってる。