かわいい戦争
『いつでもどこでも璃汰の味方でいる。そばにいる!身代わりだってなんだってするよ!』
『ふっ……なんで急に身代わりなんて出てくるのよ』
『インディーズといえど有名人には危険が付きもの!メイクで璃汰に似せたら、もしものとき璃汰の盾だったり囮だったりなれるでしょ?』
『無理ね』
『えええ!?』
『あたしと海鈴じゃ、顔の造形も体型もまるで違うじゃない』
『そ、そこは……が、頑張るよ!痩せて、メイクも覚える!』
璃汰だけ戦わせない。
わたしもかわいくなるよ。
だって、わたしは、璃汰のものだから。
夏休みが明け、アイドルの仕事が本格化した。
学校では、璃汰のアイドルデビューに皆驚き、騒いでいた。早速サインを求めてた人も少なくなかった。
さらに忙しくなったはずなのに、璃汰は宣言通り勉強もレッスンも一切手を抜かなかった。
本当にすごい。
わたしの憧れ。
でも憧れてるままでいたら、何も変わらない。
璃汰の隣に堂々と立てるよう、わたしも璃汰を見習ってできることをしなくちゃ!
まずはぽっちゃりした肉付きを変えるため、ダイエット。大好物のラーメンを遠ざけた食事制限に、毎晩のマッサージやランニング。
どれも大変だったけど、辛くはなかった。
璃汰の努力に比べたら、なんてことない。