かわいい戦争


だけど神雷の上層部が固まって行動するのは、他の不良への牽制や治安維持につながるんだって、班の女の子が話していたっけ。


確かに4人揃うと迫力凄まじいもんなぁ……。



「ゆうたん、なんで遅くなったの?」


「じいちゃん……理事長に呼び出されたんだよ。ほら、璃汰のニュースがあっただろ?そのことを心配してたらしくてさ」



璃汰も桜彩学園の生徒。

家だけでなく学校にも、リタの記事関連の電話や押しかけがたくさんあったかもしれない。


璃汰がこのことを知ったら、また自分を責めてしまうのだろうか。




「海鈴ちゃんも璃汰ちゃんのニュース、もう知ってる?」


「……うん」


「璃汰ちゃん今日学校休んでたらしーけど、何か聞いてる?」


「さっき電話したら、家の周りにマスコミが大勢来てて、外出できない状態なんだって」




皆、驚いていた。


今回璃汰は神雷にも連絡していなかったんだ。



わたしが電話しなかったら、本当に独りで持ちこたえようとしていたの?


わたしと神雷もマスコミに狙われる可能性があるから?



誰にも頼らず、迷惑をかけず。

四面楚歌の中ただじっとして?



それじゃあ何も守れないじゃんか。



「だから今から助けに行ってくる!」


< 260 / 356 >

この作品をシェア

pagetop