かわいい戦争



『努力は必ずしも報われないけれど、努力しなきゃ報われるものも報われない。それならあたしは傷つくのを怖がってるより、傷つくのを覚悟で戦うわ』



わたしにだって覚悟がある。


わたしには璃汰の傷をわかち合えない。一緒に背負うこともできない。



だけど、かわいくなると決めた日から、覚悟したの。

璃汰を傷つける全てから守り抜く覚悟。



単なる願望であっても、その覚悟がわたしの原動力のひとつであることは変わらない。



「じゃあ、俺も~」


「え?」


「俺も一緒に行っていい?」



未来くんはおもむろに手を上げて、優しく目を細める。


続けてひつじくんと勇祐くんの手も上がった。



「僕も、りったん助けに、行く」


「俺も!璃汰のこと心配だしよ」



ほら。

わたしだけじゃない。


皆だって璃汰のこと守りたいと思ってるんだよ。



「んじゃあてめーら頑張れよ。俺はだりーからパス」



……天兒さんを除いて。




「利希も行くんだよ!!」


「誰がわざわざめんどくせーことすっか。俺はたまり場でゴロゴロしてっから、お前らは勝手にどこへでも行ってろ」


「てめぇには良心はねぇのか!」


「両親は健在だ。勇祐も知ってんだろ」


「とぼけんな!そっちのリョウシンじゃねぇよ!優しさはねぇのかって聞いてんだよ!」


「俺は常に優しいだろーが」


「どこがだよ!今まで一度もお前が優しいって思ったことねぇよ!?」


「ふーん?お前の感覚、大分鈍ってんな。幸珀さんにカウンセリングでもしてもらえよ」


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