かわいい戦争






――カシャッ。


――カシャッ。




「リタさーん!」

「出てきてくださいよ!」

「おいカメラ、ずっと窓映しとけよ。いつリタが顔出すかわかんねぇぞ」

「キャバクラに出入りしてたのは本当なんですかー!?」




フラッシュをたいたカメラ。


アパート前に集まる人々の大声。



アパート近くに到着し、物陰から覗いて見えたのは

のどかな住宅街の雰囲気をぶち壊しにする騒々しさ。



近所迷惑を訴える住民がいても無理はない。



「何あれ……」



怖い。


記者やカメラマンは仕事だからやっているんだろうけれど、シャッターを切る度、太い声が響く度、敵に(オビヤ)かされてるみたいで身の毛がよだつ。



璃汰は朝からこれに耐え、恐怖していたなんて……胸が痛い。



「うっわ」



後ろから天兒さんの呟きが漏れた。


さすがの天兒さんも引いて……



「予想以上にイイ顔してんじゃねーか」



……えっ、そっち!?



「いーねいーね。汚ねー顔がさらに汚くなってやがる。サイコー」


「こいつの感性は一生理解できねぇ……」



勇祐くんに同感。


天兒さんは相変わらず悪趣味だな。


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