かわいい戦争
「う、うん……。璃汰が攫われて……」
「勇祐からの電話もそのことだった。璃汰ちゃんを助け出したら、ある車に急に璃汰ちゃんだけ連れ去られたって。追いかけてはみたけど、相手は車だし、すぐ撒かれちゃったって」
「その車にまろんちゃんと不良が乗ってたんだ……」
「まろんちゃん?……って、あの璃汰ちゃんと同じグループの!?」
どうしよう。
どうして。
よかれと思って行動したことが、ことごとく裏目に出てしまうの。
「わたしのせいだ……っ」
あのニュースも、ドラマ降板も、誘拐されたのも。
わたしが自分勝手に動いて、迷惑をかけたせい。
璃汰を守るどころか危険にさらして……味方失格だ。
ごめん。
ごめんね、璃汰。
「わたしが……わたしのせいで……」
「違うよ。海鈴ちゃんのせいじゃない!」
「違くない……わたしはいつも、璃汰を守れない……っ」
「っ違う!!」
初めて聞いた、必死に荒げた絶叫。
反射的に強張らせた体を、痛いくらいきつく抱きしめられた。
「み、らい、く……」
「海鈴ちゃんのせいじゃないし、海鈴ちゃんはいつだって璃汰ちゃんを守ってるよ。だから自分を責めないで。悪いのは璃汰ちゃんを連れ去った犯人なんだから」
フードの取れた頭を丁寧に撫でられる。
未来くんだって動揺しているだろうに、こんなふうに慰めないで。