かわいい戦争
あのとき。
璃汰を助けに行ったとき。
神雷にわたしのすっぴんを見られたとき。
出会って間もないときから未來くんの心にわたしがいたなんて信じ難いのに、気恥ずかしくて嬉しくて、この気持ちの正しい表現方法を知らないのがもどかしい。
「あ、信じてないっしょ~?」
腕を緩めて目の色を覗き込むと、ククッと喉仏を転がす。
し、信じてないんじゃなくて、信じられないんだよ!
未來くんみたいな素敵な人に想われてるこの現実さえ半信半疑なんだから!
「なんで俺がわざわざ朝からいろんな教室に行って海鈴ちゃんを探してたと思う?」
「……あ、天兒さんに命令されたから?」
「は~ずれ~」
「え、違うの?」
「それは単なるきっかけに過ぎないよ。確かに利希に命令されたけど、俺は海鈴ちゃんに会いたかったから探しに行ったんだ」
また信じられない。
それでもこれはどう足掻いても現実で。
寝ても覚めても、この言の葉は泡沫なんかじゃない。
未來くんはありのままの真心を贈ってくれてるんだ。
「覚えてる?俺が言った、海鈴ちゃんを利希がたまり場に呼んだ理由」
覚えてる。
鮮明に憶えてるよ。