かわいい戦争


スカジャンのポケットの中に入れっぱなしだった、2枚の名刺。


少ししわくちゃになってしまっていた。



『心理カウンセラー 成瀬幸珀』

『探偵 十蔵寺剛』



最強伝説を多く残してるらしい幸珀さんは、散々剛さんのことをけなしていたけれど、最後には『頼ってやって』とはっきり言っていた。


本当に役立たないと思っているなら言わない。



「あ、あの……」


「あ?」



……すいません天兒さん、そろそろ返事らしい返事をしてほしいです。



「剛さんを頼ってみるのはどうでしょうか」


「剛さんに?」



一番に食いついたのは、剛さんを敬ってるひつじくん。



「探偵って人探しとか依頼されてるイメージがあるから、今回の件もいい情報を教えてくれるんじゃないかって思って」


「いいんじゃねーの?」



天兒さんに賛成してもらえるとは想像していなかった。


無関心か反対だとばかり……。




「利用できるもんはしとかねーと」


「先代相手に利用って言うな!!」


「じゃあ有効活用?」


「同じ意味だろボケ!!」




勇祐くんが頭を叩こうとしたら、天兒さんは華麗にかわした。


相変わらずだね。

だから、かな。


わたしも平常心でいられる。


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