かわいい戦争
わがまま革命
5番。
わかりやすくでかでかと扉に記されていた。
西の倉庫前。
剛さんの言っていた通り、例の車が停められている。
完全に閉じられた扉の奥からは何も聞こえてこない。
「ここに、璃汰が……」
ごくり、と生唾を飲んだ。
バイクを降り、ヘルメットを外すと早くも頭上に雫が降ってくる。
この中で唯一わたしだけ弱いけど
大丈夫。
怖くないよ。
璃汰を守るためなら、どんな相手にだって強気にぶつかれる。
皆と顔を見合わせて決意を改める。
ただ天兒さんとは目を合わせられなかったけど、誰より先に扉に近寄り開けようとしてる時点で汲み取れてる。
――ギギギ……。
ゆっくり、ゆっくり。
錆びれた扉の向こうがあらわになっていく。
雨と汗でメイクは大分崩れたから、マスクはもう外してしまおう。
これでわたしの声が璃汰に届きやすくなった。
「璃汰っ!!!」
半分開いた扉から、倉庫内に反響する。
小さなシャッター音と共に。
一瞬眩しい光に照らされ、思わず目を瞑る。
な、何!?
「早かったですね」